“東宝シンデレラ”屈指の才能・福本莉子、最強だった森七菜 2020年に輝いたヒロインたち

 この2020年は例年とはまるで違う年になってしまったのは言うまでもない。新型コロナウイルスの影響で春以降には多くの映画やドラマが延期となり、懐かしいドラマの再放送が相次ぐことに。『愛していると言ってくれ』(TBS系)の常盤貴子や『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)の堀北真希の姿を久しぶりにテレビ画面で観ることができたのはこの上ない喜びではあったが、やはり全体的には、いまひとつ盛り上がりに欠けた1年であったことは否めないところだ。

 それでも夏過ぎごろからは、映画界は完全に元通りとまではいかなかったが、スタッフやキャスト、作品に携わるすべての人々が互いの安全に配慮しながら撮影に臨むなど、通常とは異なる努力を重ねた結果として、コンスタントに作品が届けられるようになった。それは作品の受け手として感謝せずにはいられない。

『思い、思われ、ふり、ふられ』(c)2020映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (c)咲坂伊緒/集英社

 さて、そんな1年を振り返って、もっとも印象に残った女優をピックアップするならば、まず挙げるべきは福本莉子を置いて他にいない。8月に公開された三木孝浩監督の『思い、思われ、ふり、ふられ』で主人公4人の1人として、正統派キラキラ映画ヒロインを演じ抜いた福本。共演した同じ「東宝シンデレラ」の先輩である浜辺美波の放つスターオーラに屈することなく、初のメインキャストでありながらも対等なダブルヒロインとして君臨するその様は、歴代の「東宝シンデレラ」出身女優のなかでも指折りの素質を感じてしまうほど。

映画『映像研には手を出すな!』(c)2020 「映像研」実写映画化作戦会議 (c)2016 大童澄瞳/小学館

 同作以外にも、ドラマと映画の連動プロジェクトとして製作された『映像研には手を出すな!』では主人公たちの前に立ちはだかる生徒会メンバーのひとりとして大胆なキャラクターを熱演。とくに映画版では冒頭から登場してその鮮烈さで場をかっさらうあたり期待を裏切らない。テレビ東京の深夜枠で放送された『歴史迷宮からの脱出〜リアル脱出ゲーム×テレビ東京〜』でも(ドラマ要素と流行りに乗ったゲーム要素を加えた作品の異質さを抜きにしても)、他の作品とは違うタイプのキャラクター性にしっかりとハマる。2021年には年明け早々からMBS系ドラマ『夢中さ、きみに。』のヒロインや、初夏に主演映画も控えており楽しみだ。

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