Sexy Zone 菊池風磨×SixTONES 高地優吾の冒険の行方は? 『バベル九朔』最終回で見つけたもの

『バベル九朔』最終回の見どころは?

 怒涛の展開ながら、ラストはストンと胸に落ちるような感覚がある。点と点が線となり、すべてはきちんと繋がってゆく。キャラクターひとりひとりのことを思えば、とても一度では飲み込むことができないが、決して複雑という意味ではない。それぞれの背景を、心情を思うからこそ、さまざまな感情が湧きおこってくる。

 上地雄輔の芝居は圧巻だ。全話を通し、いくつの顔を見せただろう。なかでも今回、満大にたたみかけるシーンは見どころだ。満大だけでなく、視聴者をも容赦なく突き刺す台詞の数々とその説得力に、心が痛む。第9話で見せた父・勝としての優しい表情とは、まるで別人だ。

 前回、“バベル”が作り上げた幻と知りながら、それでも勝の言葉、愛情、ぬくもりに涙した満大。それゆえ、現実と“バベル”の境界線を見失い、危うく“バベル”に取り込まれそうになったほどだ。

 満大は、勝の存在と愛情を心から求めている。その痛いほどの感情は、最終話にも繋がる重要な伏線だ。果たして満大は、大好きな父の本当の愛を、今度こそ手にすることができるのだろうか。

 全10話を通してみれば、息を呑むほどハラハラしたシーンや、キャラクターが憎く思えるシーンも存在した。しかし、本当の意味での「悪」は、この物語に存在しないのではないか、と思う。ベースにあるのは純粋な愛と夢。ただ、行き過ぎたそれらは歪みを生み、歪みが“バベル”を生み出してしまった。

 物語のカギである「夢」。夢と理想、そして現実をめぐる数々の言葉が、痛いほど胸に刺さった。優しいばかりではない現実世界。大切なものをなくしても、人知れず悩みを抱えていても、誰もが踏ん張って生きている。だからこそ、不意に逃げたくなる瞬間は訪れる。もし、なにもかも理想が叶う世界があるなら、飛び込んでしまいたくもなる。

 けれどそれは、懸命に生きていなければ理解することのできない感情だ。きっと『バベル九朔』に夢中になったのは、日々を頑張って生きている人たち。だからこそ、この物語に導かれ、共鳴したのだろう。そして『バベル九朔』は、現実世界が決して辛いことばかりではないとも教えてくれた。もしもひととき人生に迷い立ち止まっても、人はもがいて足掻いて、現実を生きていく。いつの日か選んだ道に納得できるように、誰もが今日を生きている。

 “夢を追う時間は、無駄なのか?” 作中で、ひとつの答えが示される。けれど、答えは人の数だけあるだろう。それぞれの答えは、観た者がこれから見つけていけばいい。“すべてビルのなか”で、見たこと感じたことは必ず、人生の糧になる。物語の名は『バベル九朔』。この世に二つとない、最狭スペクタクル冒険譚がいよいよ最終回を迎える。

※高地優吾の「高」ははしごだかが正式表記。

■新亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitte

■放送情報
『バベル九朔』
出演:菊池風磨(Sexy Zone)、高地優吾、池田鉄洋、佐津川愛美、前原滉、アキラ100%、村松利史、上地雄輔ほか
原作:万城目学(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一 吹原幸太
監督:筧昌也、田中健一
音楽:野崎美波
チーフプロデューサー:福士睦
制作プロダクション:ダブ
(c)NTV・J Storm
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/babel/
公式Twitter:@babel_ntv
公式Instagram:@babel_ntv

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