長谷川博己に訪れた、辛く苦しい決断の時 『麒麟がくる』光秀が例えられた2羽の鳥
第36回では光秀が象徴的な2羽の鳥に例えられる。1羽目は冒頭で光秀が帝(坂東玉三郎)に面会を果たした際に、三条西実澄(石橋蓮司)が光秀に例えた「万葉の歌を好む珍しき鳥」。帝から「目指すは何処ぞ」と問われた光秀はハッキリと「穏やかな世でございます」と答え、「迷わずに歩もうではないか」というお言葉をもらう。
2羽目の鳥は終盤、義昭が例えた「籠から出た鳥」だ。そして義昭は、飛び立った鳥はまた飛んで戻って来るかもしれないとの思いを残した。これまで多くの鳥が贈られ、殺され、時に毒殺の片棒を担がされそうになってきた本作において、光秀が鳥と例えられたことには大きな意味を感じさせられる。さらにこの場面での光秀はこれまでにはないほどの激しい感情の発露を見せた。長谷川博己は顔を震わせ、ショックを隠しきれない様子で涙を流し、光秀の苦しみを力強く表現する。前半までに見せた美しくも頼もしい光秀から一転、苦しさに心を引き裂かれる様子を生々しく演じた。
次週はこの「訣別」がどう事態を変えたのかが描かれる。光秀はこの苦しみにどう立ち向かうのだろうか。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00〜放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00〜放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kirin/
公式Twitter:@nhk_kirin