『バベル九朔』第9話はSixTONES 高地優吾の台詞に要注目 物語は最終回に向けてさらに加速
ある日、テレビ局に呼び出された満大。そこで山下の口から告げられたのは、信じられない言葉だった。満大は絶望感とともに、ある願望を抱く。眠りから覚めた満大を、再び山下が訪ねてきた。満大のことを「先生」と呼び、やたら媚びへつらう山下の姿に満大は戸惑うが、ふと、ここは“バベル”の世界なのだと気付く。なんでも思い通りになる“バベル”の凄さを実感した満大は、ひととき願いを叶えてみようと思いつく。
そうして、父・勝(上地雄輔)と親子水入らずの時間を過ごす満大。言ってほしかった言葉、やってみたかったこと……勝の愛情と温もりに包まれ、満大はすっかり“息子”の顔を見せる。
夢だった、新作映画の製作発表記者会見。誇らしげな表情で想いを語る満大を、バベル九朔のテナントの皆が笑顔で応援している。隣にはもちろん、健がいる。まさに、満大が思い描く理想の世界だ。しかし会見は、記者からのある要望をきっかけに空気が一変。突如会場を襲う異様な雰囲気に、満大は困惑する。
ストーリーは右へ左へと振られ、我々はあっという間に世界軸を見失う。しっかりと見ていたはずなのに、決して惑わされまいと覚悟して臨んだはずなのに。本作において、我々が唯一見失わないもの、信じられるもの、それは、主人公である満大の感情だ。たとえ世界がどこであろうと、現実であろうと“バベル”であろうと、いつだって満大の感情はしっかりと描かれてきた。
満大に感情移入できなければ、きっと我々はこの摩訶不思議な世界に没入することはできなかっただろう。いつだって観る者と手をつなぐように、ともに迷い子となる菊池の芝居が『バベル九朔』を成立させてきた。だが今回、気づかぬほど一瞬の隙に、満大とのつながりがほどけてしまう。すり抜けたかのように、巧みに。
だからこそ第9話には、これまでとは異なる“得体の知れなさ”があるのだが、『バベル九朔』ファンならばこの感覚、決して嫌いじゃないはずだ。さらに第9話の重要なギミックとして作用しているのが、上地雄輔演じる満大の父・勝の存在。そもそも我々は、勝のことをほとんど何も知らない。そうした大前提を忘れてしまうほどに勝は、自然と物語に入ってくる。満大にとって何よりも恋しかった父として、ふと泣けてくるほどに。
とはいえ、なんといっても今回のキーマンは健だ。健に、いや、高地優吾に一本とられた。第8話においても、乱高下する健の感情を、緩急のある芝居でうまく演じていた高地。今回、たった一言なのだが、個人的に唸らされた台詞回しがある。どのシーンであるかは、想像にお任せしたい。
次回『バベル九朔』はいよいよ最終回を迎える。これほどまでに着地点が見えない作品と出会ったのは久しぶりのことだ。わくわくしている。果たして物語はどんな結末を迎えるのか。一瞬たりとも目が離せない。
※高地優吾の「高」ははしごだかが正式表記。
■新亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter
■放送情報
『バベル九朔』
日本テレビにて、毎週月曜深夜24:59~放送
※Huluでも配信
出演:菊池風磨(Sexy Zone)、高地優吾、池田鉄洋、佐津川愛美、前原滉、アキラ100%、村松利史、上地雄輔ほか
原作:万城目学(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一 吹原幸太
監督:筧昌也、田中健一
音楽:野崎美波
チーフプロデューサー:福士睦
制作プロダクション:ダブ
(c)NTV・J Storm
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