『おちょやん』篠原涼子のすがすがしいほどの叱り声 凛とした佇まいで女将役を好演

『おちょやん』篠原涼子、女将役を好演

 奉公に出された竹井千代(毎田暖乃)は、道頓堀にある芝居茶屋「岡安」にやってきた。NHKの連続テレビ小説『おちょやん』が第2週初日を迎え、千代の女中としての日々が始まる。舞台がガラリと変わり、新たな登場人物が何人も現れ、奉公先の仕事は千代が覚えきれないほどたっぷりあり……と盛り沢山な回となった。中でも印象的なのが、芝居茶屋「岡安」の女将の岡田シズ(篠原涼子)と女中頭のかめ(楠見薫)である。

 座布団を運ぶお茶子にぶつかられ、千代は「何しくさんねん、このどあほう! すかたん!」と大声を張り上げた。そんな千代に、顔を合わせる前から「あほ! すかたんはあんただす」と叱りつけたのがシズだ。店先に立つ千代を見る鋭い目やはっきりとした口調、口が達者な千代に悠然と対応するさまから、彼女の厳しさが伝わってくる。また篠原の凛とした佇まいからは、シズが女将として生きてきた年月が感じられた。物語終盤には「千代ー!」とすがすがしいほどの叱り声を飛ばしたシズ。今後の千代との掛け合いが楽しみだ。

 女中頭のかめははじめ、「ひと月でいてへんようになる子に教えたとこで時間の無駄や」と千代に仕事を教えるそぶりを見せなかった。釜に残っていた米を食べたがる千代には「流しのご飯粒も食べていい」と嫌がらせともいえる、なかなか強烈なことをする。だが千代はそれを喜び、流しのご飯粒を美味しそうに食べると「おおきに、おかめさん」とお礼を言った。その瞬間、かめは千代の髪を強引に結い直しながら、大量の仕事を与えている。「おおきに」と言われたとき、かめが何を感じたのかはまだわからない。千代の髪を乱暴に扱うシーンだけを切り取ると、千代の反応に苛立っただけのようにも思える。しかし千代に畳の拭き方を教え、返事を正す姿や、仕事に慣れていない千代に「はよせな、日ぃ暮れてまう」と小言を言いながらも気にかける姿を見る限り、千代がここで働き続けられるよう、仕事をたたきこんでいるようにも見える。かめの人物像も気になるところだ。

 千代の周りの大人たちが、この世界の厳しさを教え、千代を成長させるのだろう。シズやかめとは対照的な印象のある宗助(名倉潤)とハナ(宮田圭子)もまた、ハナが千代の返事を何度も訂正していたように、千代がこの世界で間違ったことをすれば厳しく接し、ただ甘やかすようなことは決してしないはずだ。千代の成長を彼らがどう支えていくのか、今後の物語が待ちきれない。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる