渋谷スクランブル交差点を総工費3億円で再現 『サイレント・トーキョー』メイキング写真
12月4日公開の映画『サイレント・トーキョー』のメイキング写真が公開された。
本作は、『アンフェア』シリーズの秦建日子が、ジョン・レノンの名曲「Happy X-mas (War Is Over)」にインスパイアされ執筆した小説を映画化したクライムサスペンス。クリスマスの東京を突如襲った“連続爆破テロ事件”に翻弄される国家と人々の姿を描く。
この度公開されたのは、渋谷スクランブル交差点の撮影現場のメイキング写真。一連の事件を独自に追う渋谷刑事課・警部補の世田志乃夫を演じる西島秀俊、不可解な行動を取るIT企業家の須永基樹を演じた中村倫也、興味本位で犯行現場に来てしまう会社員・高梨真奈美役の広瀬アリス、そして世田とバディを組む生真面目な新人刑事役・泉大輝を演じた勝地涼、真奈美の同僚で須永に心惹かれる会社員・印南綾乃を演じた加弥乃らが参加した。
撮影が行われた渋谷スクランブル交差点のオープンセットは、総工費3億円で栃木県・足利競馬場跡地の一部2万2千平米弱の空間に再現された。「このオープンセットがなかったら映画はできなかった」と波多野貴文監督をはじめ、スタッフの誰もが口を揃えて言う。
5月に場所探しがはじまり、7月に建設開始、8月中旬、スクランブル交差点、ハチ公前改札、ハチ公前広場と見慣れた光景が完成。そこにクリスマス感を出すために5.5mのツリーと祝祭感ある巨大壁画が作られた。完全コピーされたスクランブル交差点のオープンセットに加え、サイネージや看板など様々なライトが入り混じった夜の渋谷の独特のまばゆさも再現。群衆、建物、乗り物などを照らす光はどの地点から渋谷の街を捉えるかによって、色味が異なる為照明は照明機材会社が悲鳴をあげるほど、在庫をすべて借り出すほどの数を使用している。
事件の鍵を握る者たち、野次馬、純粋にクリスマスを楽しみたい若者たち、ハチ公前付近を封鎖して警備に当たる警察官たち、爆発物処理班など……老若男女、日本人も外国人も混ざり合った祭りのような場面を撮影するため、足利に総勢1万人のエキストラが集結(1日、最大1200人)。ユーチューバーのみきお、あのも参加して盛り上げに一役買った。
犯人から声明が出されている爆破予告時間が「18:00」ということで、日の出ているうちにリハーサル、日が落ちてから撮影を行い1日に撮影できるシーン数は1~3カット。1日1000人を超えるエキストラを動員し、極寒の中行われたこの渋谷スクランブル交差点のシーンの撮影は約2週間を費やした。
西島、中村、広瀬、勝地、加弥乃は、エキストラに向けて大きな声で「宜しくお願いします!」と挨拶。渋谷スクランブル交差点で起きる前代未聞の大事件をあらゆる角度から捉えるため、極寒の中何度もエキストラと共にテストを重ねていく。西島、勝地ともに、リラックスを忘れず、時にエキストラともコミュニケーションを取り、士気を高めていた。
爆発する瞬間の撮影は高速レールにハイスピードカメラ(ファントム)を走らせ一気に撮影。巨大扇風機の風が吹き(かなりの風力)、通行人が横っ飛び、ダウンジャケットが破裂して羽が舞う、DJポリスが車の上から落ちる。各々がちょうどいい動きになるのが難しく、テストを何度も重ね、本番も何度も行った結果、予想外のとんでもない出来事に巻き込まれる人々の瞬間の表情が鮮烈に映った。
波多野監督は「僕の作品の特徴であるステディカムを多用することで緊張感をいかに持続させるかを意識している。爆破のスケール感、臨場感を出すため、これまで以上に機材も駆使して表現できたら」と語り、これだけの規模のオープンセットで撮ることは「監督冥利に尽きる」とコメント。
また、実際こういう事件が起きた場合、どういうふうに警察は動くのか、警察や爆発物処理班、爆弾事件の捜査のプロフェッショナルなどに取材を重ねて再現。カメラマンの山田康介は「カットで割ればできることを、なるべくカットを減らして撮る。それが今回の渋谷の表現には合っている。雑踏の中で物事が起こっていることが見せやすい」と多数のエキストラの中にステディカムでぐいぐい入って撮影。カメラは最新のハリウッド超大作、ジェームズ・キャメロン監督『アバター2』でも使用されるソニーのラージセンサーカメラ・VENICEを使用し、ドローン、空撮、巨大クレーン、OSMOカメラなど、あらゆる機材、多くの人材を総動員して撮影された。渋谷スクランブル撮影は『踊る大捜査線』や『海猿』よりも大変だったとプロデューサーの小柳智則は明かしている。
■公開情報
『サイレント・トーキョー』
12月4日(金)全国ロードショー
出演:佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇海、勝地涼ほか
原作:秦建日子『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』(河出文庫刊)
監督:波多野貴文
脚本:山浦雅大
エンディングソング:Awich「Happy X-mas (War Is Over)」
配給:東映
(c)2020 Silent Tokyo Film Partners
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