『24 JAPAN』は2020年の並行世界? 単なるリメイクで終わらないポテンシャル

『24 JAPAN』は2020年の並行世界? 単なるリメイクで終わらないポテンシャル

 獅堂は、本部長の郷中兵輔(村上弘明)からCTU内の裏切り者を探るよう極秘命令を受け、上司の鬼束元司(佐野史郎)に麻酔銃を撃つ。オープニングを除いてほぼオリジナル通りの展開に面食らいつつ、要所に日本版ならではの改変も施されていた。

 初の黒人大統領は初の女性総理候補・朝倉麗(仲間由紀恵)に変わり、CIA内の機関だったCTUは、警察庁や内調(内閣情報調査室)と並び立つ機関に位置づけられた。鬼束が麗に言及する「緊縮財政、管理・監視社会に反対だ。あの女は我々の組織を嫌っている」という箇所はオリジナル版にないもので、2020年現在の危機感が反映されている。

 細かい点で、携帯電話からスマートフォン、PCからタブレットへの機器の変遷や、高精細でダークな色調はオリジナル版からアップグレードされた部分だ。獅堂の娘・美有(桜田ひより)のクラウドのパスワードが「LOVE PAPA」で、オリジナル版は「クソったれ(LIFESUCKS)」だったのも示唆的。『24 JAPAN』は、「『24 -TWENTY FOUR-』が2020年の日本で起きたら?」という並行世界のifを形にしたものと言える。

 『24 JAPAN』は『24 -TWENTY FOUR-』ではなく、獅堂現馬はジャック・バウアーではない。そのことを承知した上で気になった点を挙げると、オリジナルの世界観を尊重するあまり、全体として遠慮がちになっているのではないか。設定は設定として、役者同士の掛け合いや振り切った演技をもっと見てみたい。

 当初13話の予定だったオリジナル版は、最終的に24話に拡大されたこともあり、整合性を欠いた部分も指摘されている。予定調和ではなく、冗長なシーンは思い切って取り払い、視聴者に「考察」を仕掛けるなど、『24 JAPAN』にはオリジナル版を超える進化を期待したい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『24 JAPAN』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜放送
※一部地域を除く(全24話)
出演:唐沢寿明、仲間由紀恵、木村多江、桜田ひより、筒井道隆、今井悠貴、森マリア、栗山千明、池内博之、朝倉あき、村上弘明、片瀬那奈、高橋和也、前川泰之、上杉柊平、犬飼貴丈、柳美稀、神尾佑、でんでん、水野久美、櫻井淳子、内村遥、天野慶久、時任勇気、佐野史郎
日本語版脚本:長坂秀佳
日本語版脚本協力:山浦雅大
音楽:奈良悠樹
チーフプロデューサー: 五十嵐文郎(テレビ朝日)
プロデューサー:船津浩一(テレビ朝日)、神田エミイ亜希子(テレビ朝日)、下山潤(トータルメディアコミュニケーション)
協力プロデューサー:藤本一彦(テレビ朝日)
監督:鈴木浩介、木内健人、日暮謙、大塚徹
原作:Based on the U.S. Series “24” Created by JOEL SURNOW & ROBERT COCHRAN (c)2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
制作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日

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