窪田正孝が裕一として初めて見せた激昂 『エール』「若鷲の歌」のヒットが意味するもの

窪田正孝が裕一として初めて見せた激昂 『エール』「若鷲の歌」のヒットが意味するもの

 海軍航空隊の予科練習生を主題とした映画『決戦の大空へ』とその主題歌「若鷲の歌」が大ヒットした裕一(窪田正孝)。『エール』(NHK総合)第84話では、2組の家族が古山家を訪れる。

 まずは豊橋から結婚の報告にやってきた梅(森七菜)と五郎(岡部大)。7年越しでの新婚さんとあって、梅も「私には五郎ちゃんしかいないので」と、まだまだお熱いご様子だ。裕一は結婚したら渡そうと思っていたという五郎の作曲に編曲を加えた楽譜を贈る。「作曲家にはなれなかったけど僕は幸せです」と一生の宝物となる楽譜を握りしめる五郎であったが、そこから2人のムードは一変していく。

 馬具職人として認められた五郎は、それが軍に納められる品、捉えようによっては軍需品であることに悩んでいた。そこから五郎は、裕一に戦争に協力するような曲は作ってほしくないと頼みこむ。それは、偉大な先生と敬愛する裕一に向けての真っ直ぐな願い。しかし、五郎の「人を幸せにする音楽を作ってほしい」という思いに、裕一は「僕の曲は人を幸せにしてないかな?」と一向に分かり合えない。

 相容れない互いの思想は、やがて五郎の一言から裕一を激怒させる。

「戦争に行く人が増えれば無駄に死ぬ人が増えるだけです」
「命を無駄と言うな!」

 家中に響き渡る裕一の怒号。驚きのあまり作業を止める音(二階堂ふみ)と梅。「裕一さんの大声初めて聞いた」という梅の言う通りに、裕一がここまで声を荒げたことが今までの回にあっただろうか。吃ることもなくストレートに飛び出したその怒りには、召集されないことへの後ろめたさ、恐怖も入り混じっている。知らず知らず、裕一の心のうちに溜まっていた、張り詰めた感情が爆発してしまった結果だ。会いたさから裕一に抱きついてきた五郎の無邪気な笑顔はどこへやら。ギクシャクしたまま古山家を後にする梅と五郎の後ろ姿が切ない。

 さらに、古山家には音の音楽教室の生徒・弘哉(山時聡真)と母・トキコ(徳永えり)がやってくる。予科練に志願し合格した弘哉が入隊前の挨拶として訪ねてきたのだ。彼は映画『決戦の大空へ』を観て国のために戦いたいと誓い、主題歌「若鷲の歌」を聴き、作曲した裕一を目指す道に見定めていた。小さな頃から慕ってくれている弘哉は、裕一にとって可愛い息子のような存在でもある。初めて古山家にやってきた頃とは見違えるように成長した弘哉を見て、裕一は「本当に立派だと思います」と言葉を送るが、音は伏し目がちに視線をそらす。皮肉にも「先生の曲を聴いて、軍に志願した若者がいっぱいいます」という五郎の言葉の通りに、まさに弘哉は命を惜しまず戦おうとしているのだ。

 そんな折、とうとう裕一に報告音楽協会を通じて軍から慰問の依頼がやってくる。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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