山崎育三郎のやさぐれた姿 『エール』立ち直れずにいる久志の苦悩

山崎育三郎のやさぐれた姿 『エール』立ち直れずにいる久志の苦悩

 久志(山崎育三郎)に断られ続けても、何かきっかけを掴んでほしいと久志のもとを訪れる裕一(窪田正孝)と鉄男(中村蒼)。『エール』(NHK総合)第98話では、久志がやさぐれてしまった理由に迫られていき、その過程の中で第97話に続き津田健太郎がカメオ出演を果たしたことも話題となった。

 裕一は、戦争下とは異なる平和で勇気が出る曲を作曲するようになり、鉄男も作詞家としてのキャリアを再スタートさせて、それぞれが戦争の苦悩から立ち直り始めていたが、久志だけはそうではなかった。久志もまた戦争によって苦しめられている一人であった。戦争下で誰かのために頑張ろうとすることは、戦争を後押しすることにも繋がる。

 慰問で様々な場所を巡っていた久志は、戦争が終わると、戦争を後押しする歌を歌っていたことを責められ、苦悩を強いられる。さらに慕っていた父親を亡くし、自らのせいで父親を苦労させてしまったと責任を感じて、生きる意味を見出せずに自堕落な生活を送ることになっていたのだ。戦争を終えて希望を取り戻せる人もいれば、その後もなかなか立ち直れない人がいる。また新たな戦争の現実が描かれていった。

 久志演じる山崎育三郎は、王子様を彷彿とさせるような綺麗めの役が似合う印象であるが、今週は全くイメージとは異なるやさぐれた久志の姿を見事に演じ切っている。今後の俳優としてのキャリアにも広がりが生まれそうだ。

 なかなか立ち直れずにある久志の苦悩があらわになっていく中、久志が立ち直るために奮闘する裕一と鉄男の姿に、改めて福島三羽ガラスの切っても切れない絆を感じさせた。そして、自らの仕事もありながら久志を支える藤丸(井上希美)の彼への愛情も強く感じられる。

 何かしらのきっかけによって、それぞれが前に進んできた。久志にも今まさにそのきっかけが与えられようとしている。これから久志がどのように今の状況を打破していくのだろうか。

■岡田拓朗
関西大学卒。大手・ベンチャーの人材系企業を経てフリーランスとして独立。SNSを中心に映画・ドラマのレビューを執筆。エンタメ系ライターとしても活動中。TwitterInstagram

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)~11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、中村蒼、山崎育三郎、森七菜、岡部大、薬師丸ひろ子ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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