『Free!』劇場版、『小林さんちのメイドラゴンS』と相次ぐ新作発表 京都アニメーション、再始動へ

京都アニメーション再始動に期待

 京都アニメーションは、2000年代に入ってTVアニメの元請けとして頭角を現したが、他社の原作をアニメ化することが多かった。しかし、2010年代に入ってからは、京都アニメーション大賞で光った作品を自社レーベルから出版、後にアニメ化するという流れで、オリジナル企画を手掛ける機会を増やしている。これによって原作の著作権及び商品化権などを自社で保有することで製作委員会から分配される金額のみならず、原作権を持つことによってさらに大きな収入を得ることが可能になるし、製作におけるイニシアチブも握ることができる。

 こうして、他社の原作を高品質なアニメにするだけではなく、原作そのものを作り出す会社として変化しようとしていたのが、2010年代の京都アニメーションの特筆すべき点だった。

 『Free!』は、そんなビジネスモデルで生み出された作品の中で最大の成功例と言える。TVシリーズ3作、劇場版4作、そして来年に5作目の劇場版を公開するほどの人気を獲得し、数多くのキャラクター関連グッズの売り上げも大きく、レストランなどとのコラボも積極的に行っている。京都アニメーションは上場企業ではないため、収益の割合は不明だが、シリーズの製作本数とその展開の規模からすると、近年の京都アニメーションのビジネスを支える屋台骨とも言えるタイトルだったと思われる。

 もちろん、内容的にも期待は大きい。躍動感ある描写の多い本作は、スクリーンで観るのがふさわしい。本作の物語は、原作からさかのぼると小学生時代から始まり、TVシリーズ第3期では、主人公たちの大学生時代が描かれ、来年の劇場版では世界に挑戦する姿が描かれるという。スポーツを題材にした作品で、小学生時代から世界へとはばたくまでを追いかけた作品はそう多くない。製作者たちとファンの情熱が実を結んだ素晴らしい結果ではないだろうか。

 京都アニメーション大賞は、当面の間休止されることが発表された。この画期的な事業モデルがいつか復活することを願うためにも、『Free!』完全新作劇場版の成功を願わずにはいられない。

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