玉木宏は本当の鬼になれるのか? 『竜の道』西郷輝彦が突きつける最後の試練
竜二に「曽根村からも手を引け」と言われていたこともあり、かつ自分とは違い「表の道で正々堂々と生きていてほしい」と願う竜二を自分側の世界に引きずり込むことだけはしない、こちら側の世界との接点を絶対に持たせはしない、その竜一の信条が決壊することはないのか。これもまた曽根村の興味をそそる点なのだろう。
そもそも、竜一が整形して最初に生まれ変わった斉藤一成だった頃に、彼を焚きつけ和田猛にさせたのは曽根村の「圧倒的な力と、圧倒的な金、どっちもねえなら恨みなんざ忘れるしかねえな」という一言だった。
そこからおそらく曽根村の予想を上回るロンダリングを果たした竜一が、それでもなお手をつけず汚すことのなかった竜二や美佐(松本穂香)との関係、また2人の兄であるという意識からくる自身の中で絶対に越えてはいけないと設けている一線。あと一歩で復讐が成功するとなった場合に、竜一が全てを差し出せるのか、それを曽根村は見届けたいのかもしれない。できっこないことを提示して竜一に復讐から手を引かせようとしたとも受け取れるかもしれないが、それよりはやはり竜一に「復讐完遂」と「兄としてありたい姿」の両立は無理だと覚悟を問うているように思えてならない。
巨大ヤクザ組織の会長・曽根村までもがここまで関わってくると、一体どんな幕引きとなるのか。次週は2時間スペシャルの最終回。曽根村が「人間は目の前の感情に囚われて目的を見失っていく」と話していたが、そろそろ我々もどんな結末を迎えようとしっかりと見届ける覚悟を持たねばならぬときが来たようだ。
■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
『竜の道 二つの顔の復讐者』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:玉木宏、高橋一生、松本穂香、細田善彦、奈緒、今野浩喜、渡辺邦斗、 落合モトキ、西郷輝彦(特別出演)、松本まりか、斉藤由貴、遠藤憲一ほか
原作:白川道 『竜の道』 (幻冬舎文庫)
脚本:篠崎絵里子(「崎」は「たつさき」が正式表記)、守口悠介
音楽:村松崇継
主題歌:SEKAI NO OWARI 「umbrella」(ユニバーサル ミュージック)
オープニング曲:ビッケブランカ 「ミラージュ」(avex trax)
プロデュース:米田孝、水野綾子
演出:城宝秀則、岩田和行、紙谷楓、吉田使憲
制作:カンテレ、共同テレビ
(c)カンテレ
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