是枝裕和監督が韓国映画を手がける意義とは? 映画界の風土と作家性の化学反応に期待

是枝裕和監督が韓国映画を手がける意義とは? 映画界の風土と作家性の化学反応に期待

 是枝裕和監督が初めて韓国映画を手がけることが、8月26日に発表された。

 『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、2019年にはフランス映画『真実』を手がけるなど、世界を股にかけた活動を続ける是枝監督。今回は、韓国の製作陣、俳優と共に、長年温めていた企画だという。

 映画ファンから大きな期待と喜びの声が上がったこのニュースについて、『アフター6ジャンクション』の韓国映画特集にも出演し、韓国映画の動向に詳しいライターの西森路代氏は以下のように語る。

「昨年、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督が来日した際などに、是枝監督との対談をよくされていました。また、それ以前も、是枝監督は映画祭や自作の上映の際などに度々韓国を訪れていて、特におととしは注目の俳優を聞かれて、ソン・ガンホや、彼と『タクシー運転手』でも共演していたリュ・ジュンヨルの名前を挙げていたりもしたので、今回の発表は驚きではなく、納得した印象を持ちました」

 また、今回発表された是枝監督による韓国映画『ブローカー(仮題)』は、日本映画らしさと韓国映画らしさを折衷した内容になるのではないかと西森氏は続ける。

「韓国映画の魅力として、日本映画にはないような、直接的なメッセージや社会性があり、またストーリー展開がはっきりしていて刺激的であるというのが、映画ファンの中の共通認識であると思います。一方で、長年、取材を重ねていると、おそらく韓国の映画ファンも、日本映画に対して、韓国独自の目線でその特徴をとらえていると感じます。作品内では様々な出来事が起こるけれど、それが物語を劇的に転換させるのではなく、そのときの心情を淡々と追っていくところが、日本映画に感じる魅力だと韓国の映画人は度々語ります。そういう意味では、日本の映画人と韓国の映画人、お互いが持つものを補い合いたいという気持ちがあるのかなと。是枝監督のような作風は、韓国には意外とないからこそ、プロデュースやビッグネームの参加に至ったのではないでしょうか」

 今回、キャストとして発表されたのは、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ぺ・ドゥナの3人。日本でも知名度の高い韓国の大俳優の共演という意味でも、韓国映画として見逃せない作品になると西森氏は語る。

「ソン・ガンホとペ・ドゥナは、パク・チャヌクの『復讐者に憐れみを』の共演や、ポン・ジュノの『グエムル』、Netflixオリジナルの『麻薬王』など共演は多いですね。またソン・ガンホとカン・ドンウォンは『義兄弟 SECRET REUNION』で共演、カン・ドンウォンとペ・ドゥナは、韓流ブームの頃のドラマ『威風堂々な彼女』で共演と、3人ともそれぞれ共演経験があります。しかし、現在はそれぞれ大作で主役を張るような役者なので、最近は簡単にこれだけの3人が共演するのは難しいのかもしれません。なので、ビッグスターの共演映画としても注目ですね。さらに3人ともエンターテインメント性の高い作品にも出演しますが、むしろ人の心情を繊細に描く作品で魅力を発揮することも多い役者さんなので、是枝監督作品との相性も良さそうです」

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