是枝裕和監督が韓国映画を手がける意義とは? 映画界の風土と作家性の化学反応に期待
『パラサイト 半地下の家族』のカンヌ、アカデミー賞のW受賞など、世界的に大きな評価を受ける韓国映画界だが、西森氏は最後にその背景について明かした。
「映画はプロデュースが非常に重要ですが、CJエンターテインメントなど韓国の映画会社を見ると、それが非常に長けていると感じます。例えば日本の大作映画では、商業主義や、より多くの方にも観てもらうために、派手な要素を入れることを意識的に行わなければなりません。しかし韓国は、人口は5000万人程度ですが、映画の年間総鑑賞数は2億回を超えていて、1人あたり4回映画館に行っている状態です。しかも、近年は社会的なメッセージのある作品に観客が集まる傾向が徐々に高まり、商業主義になりすぎず、作家性を担保できる映画が作れている状態だと思います。これは、韓国映画がずっとそうだったのではなく、この10年で徐々に変化してきました。また、世界的に見ても、今の映画は、実社会の問題点と地続きになっている映画がどんどん増えてきています。以前『スノーピアサー』でポン・ジュノ監督にインタビューした際、プロデューサーのパク・チャヌクが作家性を守らないようなオーダーを全て止めてくれていたと話されていました。韓国の映画界は、監督のやりたいことや作家性を尊重できる土壌が育っています。そういった風土と是枝監督の作家性がどのような化学反応を見せるのか、非常に楽しみですね」
2021年にクランクインを予定している『ブローカー(仮題)』。今後の映画界においても重要な作品の一つになりそうだ。
■公開情報
『ブローカー(仮題)』
監督・脚本:是枝裕和
出演:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ぺ・ドゥナ
制作:映画社ジップ(ZIP CINEMA)
提供/配給:CJエンターテインメント
ソン・ガンホ(提供:CJエンターテインメント)
カン・ドンウォン(提供:YGエンターテインメント)
ぺ・ドゥナ(提供:ジョルジオ アルマーニ ビューティー)