朝ドラ『エール』三郎(唐沢寿明)最期のシーンの裏側 演出・松園武大が語る
第1話から再放送中のNHK連続テレビ小説『エール』。8月26日からは、第11週「家族のうた」が放送される。『エール』の中でも視聴者の話題となった第11週の演出を手がけた松園武大氏よりコメントが寄せられた。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、6月27日放送の第65話をもって一時休止中の『エール』。放送は9月14日より再開される。
第11週「家族のうた」は、主人公・裕一(窪田正孝)の久しぶりの帰郷、そしていつも応援してきた父・三郎(唐沢寿明)との別れが描かれ、物語の節目にもなる週となっている。
裕一の帰郷によって、古山家はもちろん、喜多一の面々、川俣銀行の面々など序盤の物語を彩った登場人物たちが次々に再登場した。演出を担当した松園氏は、第11週が前半の大きな節目になると認識していたという。
「福島の家族のことはずっと裕一の中にある最大の問題でした。その問題に改めて向き合うこの週は、前半の大きな節目になると認識していました。演出するにあたって大事にしたことは“変化”と“不変”です。親は白髪が増え、喜多一や銀行は潰れてしまい、裕一が知らない間に様々なことが変わってしまいましたが、故郷の匂いと人々の温かい心は変わらずに残っている。故郷との再会を視聴者が裕一と同じ目線で体験していけるように意識しました」
余命が長くないと知った三郎が、息子の裕一、浩二(佐久本宝)それぞれに残した言葉も視聴者の涙を誘った。撮影時はキャスト、スタッフ全員が三郎の最期を見届ける感覚だったと松園氏は語る。
「三郎が最期に子供たちに残す言葉を、その思いを、我々スタッフも一瞬も逃すことなく撮影するぞ、という緊張感と熱気に包まれた撮影現場でした。普段、朝ドラは放送とは違う順番で撮影するのですが、この時はほとんど順番通りに撮影できたこともあって、出演者、スタッフみんなで愛すべき父・三郎の最期を見届けるような感覚になっていました。撮影した場面からは、長い期間、撮影の苦楽を共にした古山家のみなさんの絆を強く感じました」
また、第11週の最後(第55回)は、タイトルバックがなかったことも大きな話題となった。
「最愛の父・三郎との別れ、そして三郎が命をかけて繋いだ家族の絆を描いたこの回は、『エール』の特別大きな節目だと思っていました。そのスペシャル感を前面に押し出したいということで、チーフプロデューサーと話し合って決めました。出演者、スタッフの愛が詰まった回ですので、一度ご覧になった方も、まだご覧になっていない方も、是非、再放送をお楽しみください!」
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
※6月29日より第1回から再放送中
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/