『異端の鳥』監督、終戦記念日に日本の観客へメッセージ ユダヤ人の悲劇捉えた本編映像も

『異端の鳥』監督、日本の観客へメッセージ

 10月9日より公開となる映画『異端の鳥』の本編映像が公開された。

 第二次大戦中、ナチスのホロコーストから逃れるために、たった一人で田舎に疎開した少年が差別と迫害に抗いながら強く生き抜く姿と、異物である少年を徹底的に攻撃する“普通の人々”を赤裸々に描いた本作。ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門で上映されユニセフ賞を受賞したほか、第92回アカデミー賞のチェコ代表作品にも選ばれた。

 原作は、ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した『ペインティッド・バード』。ポーランドでは発禁書となり、作家自身も後に謎の自殺を遂げたいわくつきの作品を、チェコ出身のヴァーツラフ・マルホウル監督が実に11年もの歳月をかけて映像化を果たした。

映画『異端の鳥』/「戦争の非情さを感じる」本編映像解禁!10月9(金)TOHOシネマズ シャンテほか公開

 公開された本編映像は、ユダヤ人を襲う悲劇を捉えたもの。強制収容所へと走る機関車にはユダヤ人たちが座る余裕もないほどにすし詰めにされていた。多くの人々が貨車の板をこじ開け決死の脱出を試みるが、列車に乗るドイツ兵によって片っ端から射殺されていく。奇跡的に脱出に成功した赤子連れの女性も、ドイツ兵に見つかってしまう。彼らは逃げようとする母子をライフル銃でもてあそんだかと思うと、あっさりと射殺してしまう。疎開先を離れてから村から村へと地獄の旅路を続けていた少年は、はるか遠くからその惨劇をただじっと見つめていた。やがて少年は、殺されたユダヤ人の衣類や所持品を地元の村人たちが盗む行為が横行していたその場所に近づき、おもむろにひとつの鞄を開ける。

 また、マルホウル監督から、日本の終戦記念日である8月15日に寄せて、日本の観客へ「飢餓、病、殺人、火災、洪水、殺害、破壊された家屋、焼け野原、孤児。これらひとつひとつは、どれも自然と起こりうる。だがそのすべてを一度にもたらしうるのは、世界に一つだけだ。これまでに存在したものの中で、最も恐ろしい出来事。戦争である」とメッセージが送られた。

■公開情報
『異端の鳥』
10月9日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:ヴァーツラフ・マルホウル
原作:イェジー・コシンスキ『ペインティッド・バード』
出演:ペトル・コトラール、ステラン・スカルスガルド、ハーヴェイ・カイテル、ジュリアン・サンズ、バリー・ペッパー、ウド・キアー
配給:トランスフォーマー
後援:チェコ共和国大使館
日本・チェコ交流100周年記念作品
2018年/チェコ・スロヴァキア・ウクライナ合作/スラヴィック・エスペラント語、ドイツ語ほか/169分/シネスコ/DCP/モノクロ/5.1ch/原題:The Painted Bird/字幕翻訳:岩辺いずみ/R15
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