石原さとみと西野七瀬が流したそれぞれの涙 『アンサング・シンデレラ』にみる薬剤師の在り方

石原さとみと西野七瀬が流したそれぞれの涙

 患者の命も、患者の家族の想いも大切にした医療を追求するみどり(石原さとみ)。くるみ(西野七瀬)はそんなみどりに指導を受けていたが、今回はみどりがいつもと違う厳しい表情を見せる。薬剤部のチームワークの光った『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)の第5話は、くるみの変化や瀬野(田中圭)の意外な一面も描かれる。

 患者にもその家族にも真摯に寄り添い、いつも患者の命を助けることを誰よりも願ってきたみどりだったが、太一(伊武雅刀)の治療に関してはいつもと何かが違う。一方のくるみは、患者と向き合うことにやりがいを感じ始め、仕事に前のめりになる。みどり以上に太一に入れ込み、積極的に治療に参加したが、気持ちばかりが空回りしてしまい、みどりに制される一幕も。さらに、くるみは、太一が抗がん剤投与から緩和ケアへと移ることを受け入れられずにいた。そして、みどりに命を救うために、最後まで諦めたくないという気持ちをぶつけるのであった。

 新米薬剤師のくるみも病院薬剤師の仕事に少しづつ目が向きはじめ、さらに太一との出会いで薬剤師としての在り方を考えるようになる。その張り切りぶりは、多くの薬剤部メンバーが口を揃えるように「昔のみどりを見ているよう」。しかしみどりは指導者としてくるみに、気持ちを入れすぎないようにと薬剤師としてあるべき姿を教育する。それでも太一が亡くなった時には、くるみは病棟で泣きじゃくり、まだまだ初々しい姿を見せた。

 実は、太一の命を救いたくて苦しんでいたのはくるみだけではない。本当は誰よりも救いたいと願ったのはみどりだった。みどりはくるみの指導に当たって模範的な薬剤師として振る舞っていた。だが太一亡きあと、彼がみどりに渡そうとしていた野球ボールを、瀬野から受け取るや否や号泣する。患者に寄り添う薬剤師でいたいというみどりの気持ちがあふれた瞬間だった。野球ボールを抱え、声を上げて大粒の涙を流すみどりと、悔しそうな表情を浮かべて泣きながら、一歩ずつ前に進もうとする健気なくるみ。2人の薬剤師がそれぞれの道の途中で流す涙に心を震わされる。キャリアの違う2人の薬剤師の成長が、この涙には詰まっていた。

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