『アンサング・シンデレラ』は『Ns'あおい』の14年後? 石原さとみが体現する“理想の先輩”像

石原さとみが体現する“理想の先輩”像

 『アンサング・シンデレラ』で石原が演じる葵みどりは、患者のために奮闘する病院薬剤師という役柄。それで思い出すのが、2006年に石原が民放連続ドラマ初主演を果たした『Ns'あおい』(フジテレビ系)だ。石原は本作で患者に寄り添い、精一杯仕事に励む新人ナース・美空あおいを演じた。患者の危機とあれば看護師として制限されている医療行為にも手を出してしまうというあおいのキャラクターも葵と似ていて、むしろ14年前の葵を見ているかのよう。

 ただ『アンサング・シンデレラ』の葵は、新人ではなく、ある程度キャリアを積んでいるという設定が重要なポイントの一つ。石原が「患者さんにとっての“最後の砦”という自覚をもち、単にがむしゃらなだけではなく、優しさが本当の強さだということが伝わるように演じていきたいです」(参考:石原さとみ、木曜劇場『アンサング・シンデレラ』主演で病院薬剤師に 「精いっぱいがんばりたい」)と言うように、周りの状況を判断し、説得力のある行動をするクレバーさが、葵みどりという主人公の立ち位置を特別なものにしている。意見が食い違う主任の刈谷奈緒子(桜井ユキ)に叱られても、変に怒ったり、動揺したりせずに飲み込むという、大人の対応をする演技は以前にはなかったものだ。

 また今回の役柄は、相原くるみ(西野七瀬)という新人薬剤師を指導する立場というのもポイントで、これまでの2話を観る限り、直接指導するのではなく、患者一人一人と真摯に向き合う姿勢に相原が何かを得るという、「背中で語る」カッコよさがある。まさに、葵みどりという役は、このドラマのモットーでもある、“縁の下の力持ち(=アンサングヒーロー)”と呼べる病院薬剤師を体現している存在なのだ。とは言え、たまにチラッと見せるガムシャラさ、人間らしさが葵が視聴者にとって身近に感じられる理由であり、飾らない自然体の女性が似合う石原だからこそできる役柄ではないだろうか。

 ちなみにストーリーも、「患者のための医療VS利益のための医療」がテーマとなっており、『Ns'あおい』との共通項が。第3話は、病院薬剤師VSドラッグストアという展開となり、病院薬剤師の存在意義が問われることになっていく。リアリティーが魅力の本作なだけに、どう答えを導くのか目が離せない。

■放送情報
木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、西野七瀬、清原 翔、桜井ユキ、井之脇海、金澤美穂、真矢ミキ、迫田孝也、池田鉄洋、でんでん、田中圭
原作:『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』荒井ママレ/医療原案:富野浩充(『月刊コミックゼノン』連載/コアミックス)
脚本:黒岩勉
プロデュース:野田悠介
演出:田中亮
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/unsung/
公式Twitter:@unsung2020

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