蒼井優×高橋一生『スパイの妻』ヴェネチア映画祭コンペ部門出品 黒沢清「今は予想もつきません」

『スパイの妻』ヴェネチア国際映画祭出品へ

 黒沢清監督作『スパイの妻』が、9月2日(現地時間)よりイタリアで開催される第77回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決定した。

 本作は、黒沢監督によるラブサスペンス。舞台は1940年の神戸で、時代の不穏な空気を感じ取っていた貿易商の男は、妻を残し満洲へ赴く。男はそこで偶然目にしてしまった世にも恐ろしい出来事を、世界に知らしめなければならないと心を決め、行動に移そうとする。その夫の意志を知った妻は、彼の身の安全と2人の幸せのため、これを阻もうとするが……。

 脚本は、『寝ても覚めても』の濱口竜介、『ハッピーアワー』など濱口作品の脚本を手がける野原位、そして監督を務める黒沢の3人体制で手がけられ、音楽は長岡亮介が担当。主人公・福原聡子を蒼井優、その夫・優作を高橋一生が演じたほか、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史らがキャストに名を連ねた。6月6日にNHK BS8Kにて放送された同名のSPドラマの劇場版となり、スクリーンサイズや色調を新たにした。

 ヴェネチア国際映画祭は、カンヌ・ベルリンと並ぶ世界三大映画祭のひとつであり、世界最古と呼ばれる歴史深い映画祭。そのメインであるコンペティション部門には、毎年各国の実績ある監督たちが名を連ね、近年では『ジョーカー』、『ROMA/ローマ』、『女王陛下のお気に入り』、『シェイプ・オブ・ウォーター』などが主要賞を獲得している。

 黒沢監督作品は『叫』(2006年)、蒼井も出演した『贖罪』(2012年)に続き今回が三度目の出品となり、コンペティション部門に選ばれるのは、本作が初。本映画祭は現地時間9月2日から12日まで行われ、受賞結果は映画祭最終日に発表される予定だ。

 蒼井、高橋、黒沢監督からは喜びのコメントも到着した。

コメント

蒼井優

黒沢監督おめでとうございます。今回は残念ながら現地に伺うことが叶いませんが、会場の皆様にお会いできなくても、想いは通じると信じています。誰かの明日へつながる1本になればと心から祈っております。

高橋一生

この時代にこの作品で、このキャストスタッフの下、黒沢組に参加出来た事が夢のようですが、その上にまた、ヴェネチア国際映画祭に参加するという嬉しい知らせを頂きました。より多くの方々に観ていただければと思います。

黒沢清監督

嬉しい、と同時にたいへん緊張しています。1940年代の日本を生きた夫婦の姿が海外の人の目にどう映るのか、今は予想もつきません。

■公開情報
『スパイの妻』
10月16日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
出演:蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史ほか
監督:黒沢清
脚本:濱口竜介、野原位、黒沢清
音楽:長岡亮介
制作著作:NHK、NHK エンタープライズ、Incline,、C&I エンタテインメント
制作プロダクション:C&I エンタテインメント
配給:ビターズ・エンド
配給協力:『スパイの妻』プロモーションパートナーズ
2020/日本/115分/1:1.85
公式サイト:wos.bitters.co.jp

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