歴史的暗殺事件の闇に迫るドキュメンタリー 『わたしは金正男を殺してない』日本で世界最速公開へ

『わたしは金正男を殺してない』公開決定

 金正男暗殺事件の闇と真相に迫ったドキュメンタリー映画『Assassins(原題)』が、『わたしは金正男を殺してない』の邦題で10⽉10⽇に公開されることが決定した。

 2017年2⽉、マレーシアのクアラルンプール国際空港で1⼈の男が突然倒れた。神経猛毒剤「VX」を顔に塗られて殺された男は、北朝鮮・朝鮮労働党委員⻑、⾦正恩の実兄・⾦正男。彼を殺したのはベトナム⼈とインドネシア⼈の2⼈の若い普通の⼥性だった。しかも⽩昼堂々と⾏われたこの暗殺の⼀部始終は空港の監視カメラにすべて収められ、まるでいたずらのような“ドッキリ”映像は世界を駆け巡った。

 本作は、⽩昼堂々と⾏われたこの暗殺事件の真相に迫るドキュメンタリー映画。巨⼤な国を相⼿に彼⼥たちの無罪を信じ、証拠を積み上げていく弁護団の渾⾝の調査で分かってきたのは、それまで犯罪とは⼀切無縁だった貧しいふたりが「有名になりたい」「お⾦が欲しい」とそれぞれの⼈⽣を夢⾒ていた時、そこに付け込んでSNSを通して巧妙に罠をしかけてきた北朝鮮の⼯作員たちの姿だった。

 あわせて公開された本作のシーン写真は、逮捕後に撮影されたシティ・アイシャ(左)とドアン・ティ・フォン(右)の虚な表情をしたふたりの姿と、暗殺時「LOL(⼤爆笑)」と書かれたTシャツを着ていたことで世界中の話題をさらった当時の監視カメラから切り取ったもの。

 監督を務めたのは、ホロコーストの⽣存者であり、アメリカで最も有名なセックスセラピストであるドクター・ルースの⼈⽣に迫るドキュメンタリー『おしえて!ドクター・ルース』(2019年)や、サンダンス映画祭で監督賞を受賞、アカデミー⻑編ドキュメンタリー映画賞には最終選考まで残り、エミー賞にもノミネートされた『ジェンダー・マリアージュ 〜全⽶を揺るがした同性婚裁判〜』(2014年/共同監督:ベン・コトナー)などで知られる、ドキュメンタリーの気鋭ライアン・ホワイト。謎に包まれた北朝鮮の都市・平壌や逮捕された2⼈の故郷であるインドネシアやベトナム、そして裁判の⾏われているクアラルンプールの法廷を⾶びまわり、本作を作り上げた。

 なお本作は、日本での公開が世界最速となる。

■公開情報
『わたしは金正男を殺してない』
10月10日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督:ライアン・ホワイト
配給:ツイン
2020年/アメリカ/英語ほか/104分/英題:Assassins
(c)2020 Backstory, LLC. All Rights Reserved. 

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画情報」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる