令和の「倍返し」がいよいよスタート! 『半沢直樹』続編でも理不尽に立ち向かうテーマは健在

『半沢直樹』続編でもテーマは健在

 銀行への返り咲きを狙う出向組の裏切りや、メインバンクの地位を利用して子会社の案件を横取りする銀行。その背後には伊佐山や副頭取の三笠洋一郎(古田新太)がいた。前作で、行内融和を図る頭取・中野渡謙(北大路欣也)のはからいによって、常務から取締役への降格ですんだ大和田。中野渡の前で、いけしゃあしゃあと「施されたら、施し返す。恩返しです」と言ってのける大和田の変わり身の早さもすごいが、それ以上に強烈なのが三笠だった。

 三笠が伊佐山に対して「上司を裏切れば返り討ちに遭いますよ。そうならないためにも、裏切るときは徹底的に裏切らなければなりません」と表情をまったく変えずに話す場面には、ドスの効いた迫力があった。怪優と称される古田をキャスティングしていることからもわかるが、圧倒的なラスボス感を放つ三笠に、子会社社員でしかない半沢は太刀打ちできるのだろうか?

 キャスティングも豪華だ。市川猿之助、尾上松也たち歌舞伎役者や、井上芳雄や土田英生ら舞台、ミュージカル出身者など、実力派がひしめく。また、電脳・土田美幸役の南野陽子が披露する出身地の兵庫弁や、出向組の三木重行を演じる角田晃広(東京03)による『これは経費で落ちません!』(NHK総合)のキャラクターにちなんだ台詞など、細かいネタも豊富だ。

 前作の特大ヒットを受けて、TBS日曜劇場は池井戸潤原作による『下町ロケット』や『陸王』、『ノーサイド・ゲーム』などを次々と送り出してきた。その間、撮影・演出も進化し、作品への期待値も上がり続ける中で、『半沢直樹』続編は、そのハードルを軽々と超える仕上がりとなった。

 最後に、第1話から半沢のセリフを紹介したい。「どんな仕事も、目指すところは同じはずだ。そこに勝ちも負けもない。大事なのはどこで働くかじゃない。どう働くかだ」。第2話まであと7日。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

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