『半沢直樹』特大ヒットの背景にあったもの 堺雅人の「倍返し」を支える同期と家族

『半沢直樹』の「倍返し」を支える同期と家族

 典型的な上意下達の組織である銀行で胸のすくような倍返しを見せる半沢に、多くのサラリーマンが自身を重ね合わせたことだろう。元銀行員である池井戸潤原作のストーリーは企業の実像を捉え、大胆不敵な主人公はしがらみや組織の旧弊に悩む視聴者のジレンマを一刀両断した。ビジネスドラマと聞くと、経済成長を前提にしたサクセスストーリーが多い中で、平成不況下の実情を融資する側の視点から余すところなく描いたことが、『半沢直樹』特大ヒットの背景にある。

 金を前にするとその人間の本性が出る。大和田や金融庁の黒崎駿一(片岡愛之助)の常軌を逸した狂態は、金の魔力に狂わされた人間の姿とも言える。翻って半沢はどうだろうか。取締役会で大和田を公然と追及した半沢の胸中には、「晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」銀行への義憤があった。その半沢に中野渡から下された辞令は、東京セントラル証券への出向。不正を暴く半沢の前に最後に立ちはだかったのは、清濁併せ呑む組織の論理であり、「やられたらやり返される」という厳しい現実だった。突きつけられた問いに半沢はどんな答えを出すのか。7年越しの倍返しはもうすぐだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、7月19日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送 ※初回25分拡大
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる