日南響子、『銃2020』で得た役者としての新たな幅　「ここまで自分を追い詰めた作品はありません」

誰かの心に寄り添えたら 

ーー期せずして、東子の抱える闇は、新型コロナウイルスの感染拡大という逃れようのない理不尽な現状に直面してしまった多くの人の思いと重なる部分があるように感じました。

日南：そうですね。東子は最後に“解放”されますが、それがよかったのかどうかはわかりません。ただ、新型コロナウイルスの影響で世界中の方が、我慢を強いられたり、苦しい思いを経験されたいま、本作はそんな心にどこか寄り添える作品になっているのではと感じます。決して爽やかになれる、楽しくなれる作品ではないと思いますが、“自分ごと”として東子を身近に感じていただける方も多いのではないかと思っています。

ーー東子を通して、ご自身に変化はありましたか？

日南：姿勢から歩き方、話し方まで、普段の私とは全部が真逆ですし、ここまで自分を追い詰めて、自分がどこにいるのかわからなくなる役は初めてでした。この作品、役柄に出会えたことによって、お芝居の幅が広がった感覚があります。佐藤（浩市）さん、吹越（満）さん、加藤（雅也）さん、友近さんと、真正面からぶつかりあえたことも大きな財産です。皆さんの言葉のひとつひとつが“本物”で、東子に向かって発せられたものも、私自身に言われているようで本当にダメージを受けました。終盤、吹越さん演じる刑事に「泣くな！」と怒鳴られるシーンがありますが、自然と涙が止まらなくなってしまって。撮影中は自分であって自分ではなく、東子と一体化できたのも、共演者の皆さんのおかげですね。

ーー最後の東子の“解放”をはじめ、映画館の暗闇が似合う作品です。

日南：そうなんです。まだまだ油断できない状況が続きますし、映画館に足を運ぶことが難しい方もいるとは思うのですが、可能であればぜひ映画館で観ていただきたい作品です。大きなスクリーンで、登場人物全員から滲み出る狂気を感じてほしいです。

■公開情報
『銃2020』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中
企画・製作：奥山和由
原案：中村文則
監督：武正晴
脚本：中村文則、武正晴
出演：日南響子、加藤雅也、友近、吹越満、佐藤浩市
製作：吉本興業
企画：チームオクヤマ
制作プロダクション：エクセリング
配給：KATSU-do
(c)吉本興業
2020年／日本／カラー／76分／DCP／5.1ch／ヨーロッパビスタ
公式サイト：thegunmovie.official-movie.com/
公式Twitter：@GunMovie
公式Instagram：@gun_movie2020

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