松村龍之介×北園涼の“美しすぎる”競演 独自の世界を描く『BLOOD-CLUB DOLLS 2』の華やかさ
加えて、蒼炎を演じる松村龍之介もまたミステリアスな魅力を披露する。「のすけ」の相性で親しまれる松村は舞台版『戦国BASARA』シリーズの真田幸村役や舞台『黒子のバスケ』シリーズで笠松幸男役を演じ、舞台経験豊富。さらに『BLOOD』シリーズの舞台版『BLOOD-C The LAST MIND』にて本作と同名(漢字違い)の蒼円を演じ、同じく「BLOOD-C』シリーズの映画『阿修羅少女~BLOOD-C異聞~』(2017年)では蓮を演じるなど本シリーズには欠かせないキャストでもある。今回松村の演じた蒼炎は優しい表情と誠実な口ぶりに反して本心がわかりにくいという複雑なキャラクターで、演じるのが難しい役どころであったことは容易に想像がつく。
しかし、松村は芯の強さをうかがわせる目力と堂々とした姿勢で役の背景を感じさせ、蒼炎というキャラクターを見事に体現していた。藍刃と共に画面に登場するシーンでは、衣装の効果もあり2人が相反するキャラクターであることが如実に示され、松村と北園がどれだけの思いで役と向き合ってきたかが顕著に現れる。まさにこの2人が『BLOOD-CLUB DOLLS 2』をけん引する立場であったことが伺えた。さらに脇を固める役者陣には池田成志、八嶋智人が登場し、圧巻の芝居を披露する。些細なシーンでもコミカルで強烈な印象を残し、映画がより記憶に残る作品になるべく導いた。本作にとって「縁の下の力持ち」であるのは間違いなくこの2人だろう。
現代を舞台に繰り広げられる“和×アクション”こそ、本作が強みとして掲げるべき特性でもあり、和装・洋装入り乱れるスクリーンはまさに華やかで個性的。役者陣の麗しい姿が美術や衣装の魅力を引き出し、作品を唯一無二の世界観へと昇華させた。闘技場では拳を使った戦いではなく、剣闘士と呼ばれる人々が刀を用いる熱いバトルを繰り広げる。藍刃に限らず、和装に着替え刀を構える剣闘士たちの姿は勇ましく、まさに“和×アクション”を体言するシーンとなっただろう。日本の伝統を重んじる和装と刀を武器に、日本映画界に切り込む作品が生まれた瞬間だ。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■公開情報
『BLOOD-CLUB DOLLS 2』
全国公開中
出演:松村龍之介、北園涼、宮原華音、黒崎真音、南圭介、岐洲匠、高崎翔太、朝倉あき、八神蓮、友常勇気、安里勇哉、田中涼星、郷本直也、河原田巧也、内海啓貴、白柏寿大、磯村洋祐、富田翔、芹沢尚哉、吉川麻美、桜井理衣、坂本康太、前田剛史、ベルナール・アッカ、池田成志、八嶋智人
原作:Production I.G・CLAMP
監督:奥秀太郎
脚本:藤咲淳一・奥秀太郎
撮影監督:藤井光永
プロデューサー:奥村千之介
配給:NEGA・ムービック
(c)Production I.G / CLAMP・ST / BCD FILM PARTNERS
公式サイト:http://bloodclubdolls.com/
公式Twitter:https://twitter.com/bloodc_ stage