『エール』歌姫・環を惹きつける説得力 “過去”の相手・金子ノブアキは最良のキャスティング?

金子ノブアキ『エール』でピッタリの役?

 朝ドラ『エール』(NHK総合)第12週に、ゲストとして金子ノブアキが登場。主人公・裕一(窪田正孝)と、ヒロイン・音(二階堂ふみ)を取り巻く登場人物たちに焦点が当てられるこの週で彼は、柴咲コウ演じる歌姫・双浦環のかつての恋人を演じる。

 この第12週は、いわば『エール』の“スピンオフ週間”。音の父親を演じる光石研、裕一たちがお世話になっている喫茶店「バンブー」の夫婦を演じている野間口徹に仲里依紗、そして世界的な歌姫・環を演じる柴咲が、それぞれのストーリーの主役となる。この並びからして、ずいぶんと異色の週になりそうだ。

 柴咲の主役回は、環がまだ駆け出しだった頃の、留学中のパリでの物語。「環のパリの物語 前編・後編」として、2話にわたって展開する。ここで金子が演じるのが、パリ在住の若手画家である今村嗣人。ホームパーティーで環と出会い、恋人となる存在だ。金子は今回の出演発表時に、「連続テレビ小説の現場は聖域。(中略)光と影の間に揺れる今村嗣人という男を演じます。日々の彩りに加えて頂ける様、ベストを尽くします」と公式でコメントしている。“エキゾチック”、“カリスマ”……金子を見ているとこんな言葉が浮かんでくるが、「パリ在住の若手画家」そして「環の恋人」というのは非常に気になる点だ。裕一や音が駆け抜ける“現代”において、環は世界的なカリスマである。“過去”とはいえ、その環の相手となれば、佇まいだけで彼女を惹きつけるような説得力が求められそうである。これは金子にピッタリの役どころだ。


 本作の制作統括を務める土屋勝裕氏は、金子を起用した理由について「今村嗣人は、フランスで修行している若手画家です。前衛的なものを生み出す荒々しい芸術家というオーラがあって、どこか精神的には屈折しているところもある嗣人をうまく表現してくれるのではと思い、金子さんにオファーしました」とコメントしている。今村嗣人に対する土屋氏の「精神的には屈折している」との言葉、そして金子自身の「光と影の間に揺れる男」という言葉がこれまた気になる。舞台はパリだ。ところ違えど、裕一の悲願であった「海外」である。才能はあるものの、夫婦で切磋琢磨し合い、日本で地道に歩を進める裕一と音が軸の現代パートとは異なり、異国情緒あふれる華々しい回になりそうだ。そこで今村嗣人という若き芸術家は、環のどんな素顔を引き出すのだろうか。

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