唐沢寿明、『エール』三郎役を語る 「『みんながいたから幸せだった』と心から思えた」

唐沢寿明、『エール』三郎役を語る

 毎週月曜日から土曜日まで(土曜日は1週間の振り返り)放送されているNHKの連続テレビ小説『エール』。古山三郎役の唐沢寿明よりコメントが寄せられた。

 本作は、昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一(窪田正孝)とその妻・音(二階堂ふみ)の物語。第11週「家族のうた」では、裕一が福島に帰り、久しぶりに家族と再会する姿が描かれている。

 裕一の父・三郎を演じる唐沢は役作りについて、「初めて台本を読んだときに、パッと浮かんだ人物がいるんです。僕の知り合いで、三郎にとても雰囲気が似た人がいるんですよ。いつもニコニコしていて、場合によっては怒ってしまいそうなことも、その人だとなぜか許してしまう。なんとかその人の雰囲気が出せないかなあと思いながら、演じました」と意外なエピソードを披露。

 三郎は裕一を幼少期から溺愛してきたが、「小さい頃から運動が苦手で、いじめられがちな子でしたから、三郎は裕一のことをずっと心配していたんじゃないでしょうか。弟の浩二(佐久本宝)の方がしっかりしているものだから、どうしても長男である裕一に目が行きがちだったのかなと。ですから、『裕一くんには音楽の才能がある』と藤堂先生(森山直太朗)に言われたときは本当にうれしかったと思います。最終的にそれが成功するかどうかは別にして、息子の夢を応援してやろうと素直に思ったはずです」とコメント。続けて、「でも考えてみれば、三郎が商売下手だったということが、息子にとってプラスに働いたのかなとも思います。商売上手であれば、ずっと仕事ばかりしていて、子供のことは母親に任せっきりだったでしょう。だからこそ三郎は、店をほっぽりだしてでも、裕一のことを真剣に考えられたんじゃないかな」と父・三郎の思いを語った。

 そして、今週の放送では三郎が病に冒されていることが明らかとなる。

「親は子供より先に老いていくもので、こればかりは順番ですから仕方ないですよね。ずっと生きてたら、死神博士みたいになっちゃうから(笑)。第11週は、三郎の息子たちへの想いが描かれる週でもあります。これまで、裕一ばかりをかわいがっていたように見えた三郎ですが、彼には彼なりの考えがあった。それを息子たちにきちんと伝えるんです。それが、三郎が父親として整理しておかないといけないと心に決めていたことだったんでしょうね。浩二もずいぶん救われたんじゃないでしょうか」

 第11週で印象に残っているシーンについては、「裕一と2人きりのシーンで、彼に『お前らのおかげでいい人生だった。ありがとうな』と告げる場面があるのですが、とても印象的でしたね。人間ってやっぱり、誰かのおかげでいい人生かそうでないかが決まってくるものですよね。特に三郎は、周囲のみんなに助けられて生きてきた人。裕一だけでなく、まさ(菊池桃子)や浩二や店のみんなに支えられながら生きてきた人です。演じながら『みんながいたから幸せだった』と心から思える場面でしたし、三郎のように最後に幸せだったと言える人こそが真の幸せ者なんだと思いました」と振り返った。

 本作の主演を務める窪田正孝とは別作品でも共演をしており、三郎役も「窪田正孝が主演だから」引き受けたという。窪田の魅力について、「才能ある俳優だと思いますね。どの役でも、そのイメージをちゃんとつかんで、物語の世界に入っていける。作品ごとに違う印象を与えることができる俳優です。『エール』の裕一役は、ある意味彼の真骨頂じゃないかと思いますね。俳優にとって、“強さ”は出せても、裕一のような“弱さ”ってなかなか出せないんですよ。裕一役は、彼の中にある繊細さが存分に生かされた役だと思いますね」と絶賛。窪田へのアドバイスを聞かれると「彼にアドバイス? ないですよ(笑)。違う人間だし、いくら先輩でもこちらからわざわざ助言するなんてことはありません。でも、逆にじーっと僕のことを見ている気配は感じるかな。僕がスタッフたちとバカ話しているのをじーっと見てる。真似しようとしているのかもね」とコメント。

 最後に視聴者へのメッセージとして、「このドラマは、音楽でエールを届けようとする夫婦の物語ですが、ぜひとも視聴者の皆さんの力を貸していただきたいと思いますね。『エール』は、皆さんの“エール”で成り立っております(笑)! どうぞよろしくお願いいたします」と締めくくった。

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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