柴咲コウが『エール』で放つ圧倒的な“カリスマ性” 『おんな城主 直虎』の経験が生かされた形に

柴咲コウが放つ圧倒的な“カリスマ性”

 窪田正孝演じる主人公・古山裕一が、所属するコロンブスレコードにて、ついにヒット作を生み出したNHK連続テレビ小説『エール』。裕一の妻・音(二階堂ふみ)の妊娠も発覚し、物語は大きく動き出そうとしている。

 そんな主人公夫婦に多大な影響を与えているのが、柴咲コウ演じる世界的オペラ歌手・双浦環だ。環は第7話で初登場。環の歌声を聴いて、幼少期の音(清水香帆)は歌手を目指すことになる。第41話より、音が通う音楽学校の記念公演の審査員として再登場した環。ときに厳しい一面も見せながら音を導く存在として、そして裕一の初のヒット曲となった「船頭可愛いや」の歌い手として、『エール』に欠かせない重要人物となっている。

 ライターの木俣冬氏は、環を演じる柴咲コウについて、次のように語る。

「国際的に活躍しているオペラ歌手、しかも実在した三浦環さんをモデルにしているということもあり、柴咲さんも演じるプレッシャーは相当あったかと思います。しかし、放送が始まってみたら、“スター”としか言えない圧倒的なオーラを柴咲さんは見せてくれています。やはり歌手としての活動もされていただけに、歌を歌う姿が画になりますし、不自然さがまったくありません。音の人生を変える歌声なわけですから、それが嘘っぽくみえたら作品全体のトーンが崩れてしまいます。でも、そうならなかったのも柴咲さんの本物の歌声があったからこそ。まさに適材適所の配役だったと思います」

 また、視聴者の間で話題となっているのが、環の晴れやかな着物姿だ。この着物を着こなせる女優はなかなかいないと木俣氏は続ける。

「柄ものに柄という本当に華やかな着物ですが、着せられている感が一切なく、『似合う』としか言えないのはすごいの一言です。環の貫禄ある立ち居振る舞いも、やはりNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の出演が大きかったのではないかと思います。歴史上でも決して著名ではない人物、しかも“おんな城主”という今までにない役柄で、1年間、“殿”としての責任を全うした。ひたすら耐えて耐えて耐え抜くという人生を直虎は歩むだけに、ともすれば地味になってしまう物語だったと思うんです。特に後半に関しては、後に井伊直政となる万千代(菅田将暉)が主役と言ってもいい展開であり、後見役として支える側に回ります。でも、柴咲さんが演じることによって、絶対にくじけない強い主人公としての華が直虎にはありました。演技の上手い下手とはまた違う、柴咲さん自身が持ち得ているカリスマ性。それが、あったからこそ、今なお『おんな城主 直虎』が名作と言われ続けているのだと思います」

 『おんな城主 直虎』をはじめとした主演としての芝居はもちろん、脇に回っても作品を輝かせることができるのが、柴咲の演技の強みだと木俣氏は語る。

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