『素敵な選TAXI』バカリズムの“コント師テクニック”がとことん炸裂! aikoのゲスト出演も話題に
6月2日に放送された『素敵な選TAXI 特別編』(カンテレ・フジテレビ系)。すっかり恒例となった冒頭の竹野内豊とバカリズムの対談のテーマは「枝分の髪型について」。今回の第9話「罪と罰の選択肢」は、まさにその“髪型”の話題にはじまり、“分け目占い”なるもの(これは“分岐点”のメタファーなのだろうか)で最下位だったオールバックの男3人がタクシーの中で繰り広げるコントライクな物語が展開していく。バカリズムの“コント師”としてのテクニックがとことん炸裂した、実にコミカルなエピソードであったといえよう。
ついてないことが続いていた枝分(竹野内豊)の選TAXIに乗り込んできた1人の男・久保(高橋努)。彼もまたついてない1日を送っており、競輪でなけなしの金を使い果たしてしまいコンビニ強盗を試みるも失敗。たまたま居合わせたカンナ(清野菜名)に追いかけられて偶然にも選TAXIに乗り込んだのだ。そして過去に戻れることを知った久保は、競輪でハズレる前まで戻りたいと申し出るが、枝分は「道徳的に無理」だと言って拒否。そんなタイミングで、銀行強盗に失敗した大久保(梶原善)が拳銃を片手に選TAXIに乗り込んできてしまう。
過去の“人生の分岐点”までタイムスリップしてやり直し、新たに起こるトラブルをコミカルに描いてきた本ドラマにおいて、このエピソードは極めて異色なエピソードである。何せ肝心の「タイムスリップ」をすることなく、ひたすらタクシーの車内で繰り広げられる枝分と2人の強盗の“主導権争い”や“ついてない自慢”、挙げ句の果てには“ハンバーガーをおごるのか”ということについてが延々と語られていくのである。他のエピソードに見られるような“教訓”と呼べるものはないが、テンポ感しかりタクシーというシチュエーションが活かされた感じといい、最終回のひとつ前のエピソードにしてはかなりユニークに見える。
今回の放送前にバカリズムは、自身のTwitterでこのエピソードについて「ずっとやりたかった」ものだったと明かしている。そういった満を持した挑戦的なエピソードだけあって、ゲストキャストの配役も絶妙。“コンビニ強盗”の久保を演じた高橋は強面の見た目とのギャップを生かしたコメディ演技が実にハマる俳優であり、 “銀行強盗”の大久保を演じた梶原善といえば三谷幸喜作品でおなじみの俳優だ。その2人に飄々とした竹野内の枝分が加わることで、まるでベテランのトリオ芸人のようなバランス感覚が生まれており、竹野内のコメディ適性の高さをまざまざと感じるほどだ。