『エール』女給役の入山法子が表情豊かに放つ存在感 中村蒼演じる鉄男との交錯する演技にも期待
バイプレイヤーとしての入山にも注目だ。脇役に起用される俳優の顔ぶれで作品の質は変わるが、控えめながら確かな存在感で作品の価値を高めている。タイプ的には、そつのない名演で爪痕を残す市川実日子や薄幸な女性のイメージで主演も務める木村多江と重なる部分もある。入山の場合は良い意味で色が付いておらず、意外性のある役も似合いそうだ。
『エール』では同郷の鉄男(中村蒼)との間で物語が繰り広げられる。裕一の同級生で元ガキ大将の鉄男は、曲がったことが嫌いというまっすぐな性格の持ち主。自身も苦学の末に新聞記者となり、裕一(窪田正孝)にも「夢を諦めるな」と訴える鉄男を中村蒼が熱演している。男らしい武骨さを備えた鉄男と家族を背負って苦労する希穂子の思いは、男女の社交場であるカフェーでどのように交錯するのか。行間を読むような2人の演技は必見だ。
デビューから10数年を経て大人の女優に脱皮した入山法子。たゆみなく積み重ねてきた努力が開花しているのが今なのだろう。多くのスターを輩出した朝ドラの舞台で注目を集めるのは若手だけではない。朝ドラ出演を機に入山も活躍の場が広がりそうだ。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/