『名探偵ピカチュウ』はハリウッド映画化の成功例? 西島秀俊と竹内涼真の声の演技に注目
ここで少し『名探偵ピカチュウ』のストーリーを紹介しておこう。本作の主人公となる青年ティム(ジャスティス・スミス)は、幼い頃はポケモンが大好きな少年だったが、現在は、ある理由からポケモンと距離を取っている。そんな彼が父親の死の報せを受け、ポケモンと人間が共存する街・ライムシティへと向かい、そこでひょんなことからピカチュウと出会い、実は生きているかもしれない父の行方を探そうと奔走する姿が描かれる。
「ポケモンがもしも現実の世界に存在したら?」というテーマのもと、非常に巧みにポケモンを日常に溶け込ませている印象を受け、新鮮な印象を受ける。近年、マーベルなどのアメコミ作品を原作とする大作映画が世界的に爆発的なヒットを記録しているが、その要因は、原作へのリスペクトを大切にしながらも、新たな解釈を加えるという絶妙なバランスの上に成り立っているからであり、今回の『名探偵ピカチュウ』もそういったバランスが絶妙なところで取られているからこそ成功したものと思われる。
劇中に登場するポケモンたちは製作段階でより現実的なものにするために毛がフサフサしたデザインとなり、‘‘質感’’も非常にリアルに再現されている。そして、とても表情豊かに映し出されている。
ストレスを感じると手に負えなくなってしまうコダック、不機嫌そうな表情を浮かべるブルー、アニメやゲームでおなじみのフシギダネなど、劇中には何百種類ものポケモンが登場しており、そのどれもが超絶キュートなのだ。
小さい頃に初期のテレビアニメを観ながら、ゲームボーイカラーの『ポケットモンスター 金・銀』をプレイしていたあの日以来、ポケモンから遠ざかっていた筆者は、劇場で鑑賞した際に、上映終了と共に、再びポケモンに心を奪われてしまった。現在ポケモンに熱中している子供たちも、筆者のようにその昔ポケモンに熱狂していた大人たちも、すべてのポケモントレーナーたちに贈る「ポケモン讃美歌」なのが、この『名探偵ピカチュウ』なのである。
■zash
映画・海外ドラマライター。現在は「リアルサウンド」「シネマトゥデイ」「海外ドラマNAVI」ほかで、作品・俳優の紹介、取材レポート記事を執筆。海外ドラマの年間視聴数は2000話を超えている。Twitter/ブログ
■放送情報
『名探偵ピカチュウ』
日本テレビ系にて、5月22日(金)21:00〜22:59放送
※放送枠5分拡大
※本編ノーカット
監督:ロブ・レターマン
出演:ジャスティス・スミス、キャスリン・ニュートン、渡辺謙、ビル・ナイクリス・ギア、スキ・ウォーターハウス、リタ・オラ
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