豪華アクション女優の共演からオンライン交流まで コロナ禍における海外エンタメ業界の試み

 今回のウイルス禍は“家で過ごそう”“STAY HOME”が呼びかけられています。家で過ごす時間をどう楽しくするかというのも、エンタメ業界が取り組むべきことです。ビジネス的には動画配信サービスの加入が伸びています。また、社会貢献的な意味合いではコンテンツホルダーやプラットホーマーがコミックや映画を期間限定で無料配信しています。そしてエンタテイナーたちは歌やダンスなどの動画をアップして人々を励まそうとしています。イギリスではトム・ハーディが子ども向けの読みきかせコンテンツに参加。彼の自宅で撮影したものをTVや配信を使って発信。ヴェノムでありマッドマックスなトムが子どものためにひと肌脱ぐ。ヒーロー感ありますね(笑)。

 読み聞かせコンテンツとしては、『ハリー・ポッター』シリーズの作者J・K・ローリングが“Harry Potter at Home(お家でハリー・ポッター)”というサイトを立ち上げました。ここの目玉は、ダニエル・ラドクリフやエディ・レッドメインらが一章ずつ『ハリー・ポッターと賢者の石』(1巻ですね)を交代で朗読するというものです。

Shadowed - Short Horror

 どれも素晴らしい試みだと思いますが、ここでは僕が気に入った“STAY HOME”向けコンテンツの2つの事例を紹介します。1つは『ライト/オフ』『アナベル 死霊人形の誕生』というホラー映画の名手デヴィッド・F・サンドバーグ監督がYouTubeで発表した『Shadowed』。これは自宅待機中に、家で女優ロッタ・ロステン(監督の奥さん)を使って撮影・編集を作りあげた3分ほどのショートホラーです。ホラー映画の監督だからホラーを使って“STAY HOME”の人を自宅から楽しませたいという試みですが、この監督はYouTubeにあげた短編ホラー映画が注目され、それでハリウッドに招かれたというサクセスストーリーの持ち主。もしかすると映画監督を目指す若者たちに家にいても映画は作れる、チャンスはあるという呼びかけともとれます。

BOSS BITCH FIGHT CHALLENGE - Zoe Bell

 もう一つはクエンティン・タランティーノ監督作の『デス・プルーフ(in グラインドハウス)』の出演女優であり、ハリウッドを代表する女性スタントマン、ゾーイ・ベルが発表した“BOSS BITCH FIGHT CHALLENGE”という動画。いわゆるたくさんのセレブが同じテーマで登場して、メッセージやパフォーマンスを入れ代わり立ち代わり発表していくリレー動画ですが、タイトルが示すように、女性スタントマン、女性格闘家、そして女性スターたちがひたすらパンチやキックをしながら“次の相手をぶっとばす”という形でアクション動画がつながっていきます(笑)。

 参加した主な女優はドリュー・バリモア、ロザリオ・ドーソン、キャメロン・ディアス、フローレンス・ピュー、ダリル・ハンナ、ゾーイ・サルダナ、ハル・ベリー、スカーレット・ヨハンソン、マーゴット・ロビーと錚々たる顔ぶれ。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で人気が出たあの女の子ジュリア・バターズちゃんも登場しています。アクション女優はアクションのパフォーマンスで人々を元気づけるのです。

 ぶん殴るのオンパレード動画ですが、女優たちがすばらしい演技とリアクションをしてくれるのでドタバタ喜劇×スポーツ的な爽快感があるし、「ウイルス鬱をぶっとばせ!」的なメッセージを感じとれるパワフルな動画です。

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