『鍵のかかった部屋』は“謎解き”“脱出ゲーム”ブームを先取り? 大野智の不思議な魅力ともマッチ
それでも謎解きの終盤で、葬儀会社社長の不可解な死の密室トリックについて事細かに解説した榎本が、犯人である葬儀会社の専務・池端(風間杜夫)から自分が犯人だという証拠がないと詰め寄られるシーンだけでも充分榎本の特殊さは垣間見える。飄々とした様子で、密室の謎を解くこと以外に興味がないと語り、青砥や芹沢を拍子抜けさせる。こうしたミステリーでありながらも従来のミステリーの鉄板的要素を堂々と打ち消すあたり、どこかアイドルらしからぬ不思議な魅力を携えた大野智というキャラクターに非常にマッチしているではないか。
■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■放送情報
『鍵のかかった部屋 特別編』
フジテレビ系にて、5月18日(月)21:00~21:54放送
出演:大野智、戸田恵梨香、佐藤浩市ほか
原作:貴志祐介『鍵のかかった部屋』『狐火の家』『硝子のハンマー』(角川文庫)
脚本:相沢友子ほか
演出:松山博昭、加藤裕将、石井祐介
プロデュース:小原一隆
協力プロデュース:中野利幸
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ