『JIN-仁-』の綾瀬はるかは時を経た2020年の救世主? 国民的女優となった節目の作品に

 そんな綾瀬が、人気・実力共に、役者として一つのピークを迎えたときに出演した『JIN-仁-』。綾瀬演じる橘咲は、タイムスリップしてきた現代の脳外科医・南方仁(大沢たかお)が居候する橘家の長女で、奇跡のような仁の医療に立ち会ううちに、仁に心惹かれていき、公私にわたり仁を支えていく。

 この役もひたむきな強い女性で、医療に携わっていくことに対し情熱的であり、仁が打ち明ける未来や医療だけでなく、仁に好意を持つ花魁の野風(中谷美紀)のことも笑顔で全て受け入れていく懐の深さを持つ。ただ、恋には不器用で、直接仁には好意を見せず、やがてそれに気づいた仁に告白されるも、未来から来ていること、仁に他に思う人がいることを知っているからこそ、断るという切ないシーンも。仁が悩み、泣いているときでも、笑顔で背中を押していく。その支える女性の強さ、仁を人として愛する姿勢が、本当に健気でカッコいいのである。

 演技としては今までの集大成のような作品であるが、これまで男性に思われ、綾瀬中心に物語が動く役柄が多かったことを考えると、本作での相手を支える側に立つ役柄は新境地だったように思う。後に綾瀬が大河ドラマ『八重の桜』で演じるモデルの新島八重は、いつも誰か人のために一生懸命働く姿から「生き方がハンサム」と言われる歴史的人物だが、その役に抜擢されたのも、咲の人を思いひたすら支える強さを見事に表現したからこそだろう。

 さて物語は、いよいよ坂本龍馬の生死に関わる問題に直面する。歴史を変えないためにもそのまま放置するのか、医師として目の前の命を助けるのか、究極の選択が待ち受けている。そして、一度は断った仁と咲との関係がどうなるのか。今世間が厳しい状況だからこそ、咲のような強い女性は世間に勇気を与え、時を経て2020年の救世主になっているのではないかと思う。

■放送情報
『JIN-仁- レジェンド』
TBS系にて放送 ※一部地域を除く
5月2日(土)14:00~16:54
5月3日(日)14:00~17:00
出演:大沢たかお、綾瀬はるか、小出恵介、桐谷健太、田口浩正、戸田菜穂、武田鉄矢、、中村敦夫、高岡早紀、六平直政、麻生祐未、小日向文世、中谷美紀(特別出演)、内野聖陽
パート2出演:市村正親、佐藤隆太、市川亀治郎、藤本隆宏
原作:村上もとか『JIN-仁-』(集英社『SUPER JUMP』)
脚本:森下佳子
演出:平川雄一朗、山室大輔、那須田淳、川嶋龍太郎
プロデュース:石丸彰彦、津留正明、中井芳彦
製作著作:TBS
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる