山崎賢人が示す“主役の器” 『劇場』までに観ておきたい、“これまで”を振り返れる3本の映画

山崎賢人が示す、“主役の器”

『キングダム』(2019年)

 本作に関しては、この記事を目にする多くの方がご覧になっているのではないだろうか。2019年の興行成績では洋画・邦画あわせてベスト10入りし、こと邦画だけにおいては、人気のアニメシリーズを差し置いて第3位にランクインした。大規模な中国ロケまで敢行し、巨額の予算が投じられた超大作で、山崎は単独主演を果たしている。

『キングダム』

 山崎が演じているのは、主人公の少年・信。天下の大将軍を夢見る、戦争孤児の下僕だ。ところが、国の陰謀に巻き込まれて命を落とした幼なじみの遺志を継ぎ、修羅の道を歩んでいくこととなる……。

 本作の見どころは、やはりアクションだ。豪華俳優陣が集い、次から次へと息つく間もない活劇が繰り広げられるのだが、山崎に対しても「ここまで身体を扱える俳優だったのか」と目を見張る。半年間かけてアクションの修行を積んだようだが、逆に、「たった半年間だけでこのレベルにまでいけるのか」と驚いてしまうほどだ。もちろん、誰にでもできるものではない。山崎がそういったポテンシャルを秘めていたということなのである。

 まだ20代半ばの“若手俳優”で、進化を続ける山崎と、高みを目指し、ハングリー精神溢れる信の姿はぴたりと重なる。 続編製作を待ち望む声も方々から上がっているとあって、早くも楽しみでならない。これからの『キングダム』で演じる信の成長とともに、山崎賢人自身の成長も確認していくことができるだろう。希望を持って、その日を待ちたい。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『劇場』
近日公開
出演:山崎賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉、上川周作、大友律、井口理(King Gnu)、三浦誠己、浅香航大
原作:『劇場』又吉直樹(新潮社刊)
監督:行定勲
脚本:蓬莱⻯太
音楽:曽我部恵⼀
配給:松竹、アニプレックス
(c)2020「劇場」製作委員会
公式サイト:https://gekijyo-movie.com
公式Twitter:https://twitter.com/gekijyo_movie0417

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