染谷将太が滲ませる、信長の奥底に潜む狂気　『麒麟がくる』物語は大きな節目に

　染谷は信長を、始めの方こそピュアでハツラツとした“うつけ”の信長として演じていたが、次第に心の奥底に潜む狂気をのぞかせる。有り余る表現力で他者を威圧できるパワーのある染谷は、信長のピュアさと狂気を演じるバランス感覚に優れていただろう。度々見せる帰蝶との「膝枕」も信長のチャーミングさを際立たせ、子供のあどけなさを残しつつ2人で仲良く暗殺について算段している様子は、一層狂気じみた夫婦であることを印象づける。

　光秀は朝倉義景から呼び出され、足利義輝（向井理）が戻った京の様子を探りに行くよう命じられる。久しぶりに松永久秀（吉田鋼太郎）が登場することが予告からもわかっており、光秀がまた難しい局面に立たされるようだ。道三が亡くなり、大きな節目を迎えた『麒麟がくる』は越前を舞台に勢いよく走り出した。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00〜放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00〜放送
主演：長谷川博己
作：池端俊策
語り：市川海老蔵
音楽：ジョン・グラム
制作統括：落合将、藤並英樹
プロデューサー：中野亮平
演出：大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供＝NHK
公式サイト：https://www.nhk.or.jp/kirin/
公式Twitter：@nhk_kirin