『グッド・ドクター』で触れる山崎賢人の温かみ 現代に向けた再放送のメッセージ
『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)の放送延期が決定し、急遽『グッド・ドクター』(フジテレビ系)が再放送されることとなった。2018年7月期に同枠にて放送された本作は、サヴァン症候群を抱える主人公が、小児科の医師になり奔走するメディカル・ヒューマンドラマ。原作は2013年に韓国(KBS)で放送され、2017年にはアメリカ(ABC)でもリメイクされている。
主演の山崎賢人が演じた新堂湊は、驚異的な記憶力を持つ一方で、他者とのコミュニケーション能力に障害のある「自閉症スペクトラム障害」と「サヴァン症候群」を抱えている。放送当時、この障害故に苦労しながらも前に進む主人公の姿に、「勇気をもらった」や「何度も泣いた」などの声がSNSに多数寄せられた。
湊はこの障害のせいで始めこそは大きく苦労する。円滑なコミュニケーションが重視される医療の現場で、思うように話が進まない湊との関わりは、周りの人にとってストレスになってしまうことも多々あった。ドラマの早い段階では、こうした状況に視聴者も同じようにモヤモヤしたり、何かすっきりしない気持ちを抱えることになる。だが、ひたすら頑張り続ける湊の姿に、視聴者は次第に引き込まれ、いつしか彼を応援するようになるのだ。それは、湊が自分を受け入れたり、仲間が湊を受け入れるのと同じように、視聴者が時間の流れの中で湊を受け入れていったからだろう。
本作が多くの人の心を動かせたのは、主演の山崎の力が大きかったのではないだろうか。山崎は本作に出演するまで、正統派イケメン俳優のイメージが強い役が多かった。出演作も、初期は『L・DK』(2014年)や『orange』(2015年)など青春学園モノの映画が多く、爽やかで容姿端麗さを活かした役が多い。その後、連続ドラマでは連続テレビ小説『まれ』(NHK総合)で主人公を支えるパートナー役、『陸王』(TBS系)では就職に失敗し、挫折を味わう青年を演じ徐々に役の幅を広げる。本作では、得意/不得意が両極端で、人と交流することに苦労する役を担い、これまでのイメージを刷新するほどリアリティのある芝居で魅了した。