関連グッズが続々登場! 特撮・アメコミファンから愛される“東映版スパイダーマン”を解説
東映版スパイダーマンの関連グッズが、株式会社BANDAI SPIRITSと株式会社バンダイから5月より発売されます。フィギュア、Tシャツにアパレルグッズ、カプセルトイ……と豊富なラインナップが。グッズの情報が発表された3月23日には、インターネット・ミームとして「スパイダーマッ」が話題にもなった東映版スパイダーマン。果たして彼は何者なのでしょうか?
“東映版スパイダーマン”とは1978年から1979年にかけて、日本の東映がマーベルからスパイダーマンの権利を借りて作った特撮ドラマシリーズ『スパイダーマン』のことです。原作コミックの設定を大きく変え、スパイダー星人から力を授かった若者・山城拓也が、モンスター教授率いる悪のエイリアン軍団と戦うというストーリー。関東での放送局は東京12チャンネル(現・テレビ東京)でした。
日本のアメコミファンの間でも有名な作品ですが、特撮ファンにとっても重要なドラマシリーズです。というのも、前半は仮面ライダーの流れを組むスパイダーマンVS怪人・戦闘員の戦いなのですが、クライマックスでは敵の怪人が巨大化。そうなったらスパイダーマンは、スパイダーマシンGP-7という車と空中戦艦・マーベラーを呼び寄せます。さらにマーベラーは巨大ロボット・レオパルドンに変形! スパイダーマシンGP-7を使ってレオパルドンに乗り込み、これを操縦、巨大な敵を粉砕するのです! つまり後のスーパー戦隊もののパターンである“等身大ヒーローファイト+変形巨大ロボットバトル”というフォーマットを初めて特撮ドラマに持ち込んだ画期的な作品でした。
いったい、この作品はどうして生まれたのか? 実はマーベルは1977年に日本(東宝)のゴジラをアメコミ化。その中にはNYに来たゴジラをアベンジャーズが迎え撃つというすごいエピソードもあります。また1970年代後半から日本の超合金やジャンボマシンダーなどのロボットアニメのおもちゃが、SHOGUN WARRIORSというブランドで売られていました。したがって日本のヒーローモノコンテンツについてマーベルも注目していたのでしょう。こうしてマーベルと東映が提携し、お互いのキャラを自由に使っていいという約束を取り交わしたのです。
当時の東映は『仮面ライダーストロンガー』をもって、いったん『仮面ライダー』シリーズが終了。だから新たな特撮ヒーローの可能性を模索していた時期と考えられます。そこでアメコミキャラ×東映ヒーローモノを作るというチャレンジをしたのではないでしょうか? 結果、東映はスパイダーマンを選び、特撮ヒーロードラマ『スパイダーマン』が生まれるわけです。なおこの時期人気を博していた異色の東映ヒーローモノに『快傑ズバット』という作品がありますが、東映版『スパイダーマン』は、このズバットと同じ“東京12チャンネルの水曜日19時半枠”で放送されています。
東映はスパイダーマン以外にもマーベルのキャラを使ったコンテンツを作っており、スーパー戦隊モノ『電子戦隊デンジマン』の敵・へドリアン女王は、ヘラという悪女をベースにしています。このヘラは映画『マイティ・ソー:バトルロイヤル』でケイト・ブランシェットが演じていたキャラです。またマーベルには『ドラキュラの墓』(後にこのコミック・シリーズから生まれたヒーローが、あのブレイド)というホラーがあるのですが、それをTV用のアニメ映画『闇の帝王 吸血鬼ドラキュラ』として映像化しています。
一方マーベルは、東映アニメの『コンバトラーV』『惑星ロボ:ダンガードA』のロボットを借りて、これに『勇者ライディーン』(東北新社)を加えてアメコミ版『SHOGUN WARRIORS』を出版します。