関連グッズが続々登場! 特撮・アメコミファンから愛される“東映版スパイダーマン”を解説

今話題の“東映版スパイダーマン”って?

 東映版『スパイダーマン』は視聴率も良く、おもちゃも売れたらしいので日本人で知っている人は多い。(逆に言うと2002年にサム・ライミの『スパイダーマン』が公開されるまでスパイダーマンを日本のヒーローと思っていた人もいたらしい)けれどアメリカのファンの間で、この東映版スパイダーマンはほとんど知られていなかったようです。

 放送当時はネットとかないし、またこの作品がアメリカのメジャーなTV局で放送されることはなかった。これは日本人のアーティストでマーベルのコミックにも参加している方が言っていたのですが、マーベル本社でも、東映版スパイダーマンを知っている人は少なかったらしく、その映像や写真をネットで検索して見せたら、皆驚いたそうです。

 しかし、2009年に本国のマーベルの公式サイトでこの東映版『スパイダーマン』が無料で配信され知名度は高まりました。この配信版にはちゃんと英語字幕がついており、例えば、主題歌の「♪ひとすじに ひとすじに 無敵の男 スパイダーマン」(作詞:八手三郎)の部分は「♪WITH ONLY ONE GOAL, WITH ONLY ONE GOAL, THE  INVINCIBLE  MAN SPIDERMAN!」と訳されていました。スパイダーマンは本来、「SPIDER-MAN」と綴りますが、この歌では日本語の歌い方にあわせて「SPIDERMAN」となっています。

『スパイダーマン:スパイダーバース』(c)2019 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

 映画『レディ・プレイヤー1』の原作で、2011年に全米で出版されたSF小説『ゲームウォーズ』の中にもレオパルドンが登場(映画版には出てこない)。またマーベルが発表した、マルチバース(多元宇宙)に点在するスパイダーマンたちが集まる『スパイダーバース』というコミック・シリーズの中では、東映版スパイダーマンとレオパルドンが<アース-51778>という世界のスパイダーマンとして活躍。本コミックを元にした、アカデミー賞受賞のアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』ではチラっとレオパルドンらしき絵が映り、2022年4月8日公開の続編映画では、メインキャラの一つとしてフィーチャーされる予定。昨年のサンディエゴ・コミコン2019では会場限定でスパイダーマシンGP-7のミニカーが売られたりと、東映版スパイダーマンはアメリカのファンの間でも知られ、愛される存在になりつつあります。

東映版スパイダーマン(c)2020 MARVEL Based on original 1978 Spider-Man TV Series created by TOEI Company, Ltd.

 東映版は“スパイダーマンが巨大ロボに乗り巨大怪獣と戦う”という大胆なアレンジゆえネタにされたりもするのですが、非常にエンターテインメント性の高いヒーロードラマになっています。特にスパイダーマンのアクションは「COOL!」の一言。ほぼ同時期にアメリカでも実写ドラマが作られていましたが(日本ではパイロット版が劇場公開)、スパイダーマンのポーズやスタントは東映版の勝ちだと思います。

 スパイダーマンという大事なヒーローを預かったわけですから、日本の子どもたちにもちゃんとかっこいいと思われる存在、愛される存在にしたいという当時の東映のスタッフの方の努力と工夫に敬意を表します。スパイダーマンの生みの親の一人でありスタン・リー氏もインタビュー映像でアクションが素晴らしい!と絶賛していました。またスタン・リー氏自身は日本の巨大ロボットアニメも好きだったようで(彼は前述のマーベル版ゴジラに、レッド・ローニンという巨大ロボを登場させています)、レオパルドンについても評価していたようです。

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