『スカーレット』戸田恵梨香「短いなぁ……短すぎるわ」 涙なしには見られない喜美子の慟哭

『スカーレット』喜美子の慟哭

 診察結果の用紙をじっと見つめ、母屋で悩む喜美子のもとにやってくるのが照子(大島優子)だ。武志の体調が良くないことを知っていた照子は県立病院に連れていくことを勧めるが、喜美子は「うん。うん」と素っ気ない返事を続けるだけ。やはり姉妹なのだろう。鮫島(正門良規)に捨てられたことを知られたくない直子(桜庭ななみ)と似て、嘘が下手くそである。「なんであの子が病気に……うそや。なんで武志が」。行き場のない怒りをぶつける喜美子に、それを受け止める照子。これが長年一緒に過ごしてきた幼なじみだからこその、照子ができる喜美子の仕事を応援することでもある。

 武志にはまだ病名は伝えられていないが、喜美子が一人で診察室に入っていくのを目撃するシーンや、八郎の「時間なんかいっぱいあるで」という言葉に複雑な表情を浮かべている。戸田は『あさイチ』にて、第23週「揺るぎない強さ」からの展開を「息子の武志と向き合っていく物語になっていきます」と話していた。次世代展に応募した武志にとっての亜鉛結晶の次の夢、真奈(松田るか)が抱く武志への思い。

 思い出すのは、喜美子が陶芸教室の生徒を迎える上で言っていた「お互いの人生を豊かにし合える時間にできたらええなあと思う」という言葉、そして『スカーレット』の物語をそのまま表すセリフ「誰かの人生を思うことによって、自分の人生も豊かになる」だ。第23週では武志の病気と向き合う、母親としての喜美子の強さが見えてくるだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
2019年9月30日(月)〜2020年3月28日(土)放送予定(全150回)
出演:戸田恵梨香、富田靖子、大島優子、林遣都、松下洸平、黒島結菜、伊藤健太郎、福田麻由子、マギー、財前直見ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記、葛西勇也
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる