息子を説得し、ついに借金! 『スカーレット』喜美子に継承された“父”常治のDNA

『スカーレット』喜美子に流れる常治のDNA

 穴窯での作品作りを続ける喜美子(戸田恵梨香)。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が18週目の初日を迎え、借金をしてでも穴窯に挑み続ける喜美子の執念が描かれた。

 喜美子は八郎(松下洸平)と離れて暮らしている。第17週で喜美子は、八郎と離れたことで、「自分1人で決断できるようになった」と口にしていた。“穴窯を成功させる”ために突き進む喜美子は、作品作りを続けるために借金を決意する。

 喜美子は武志(中須翔真)に、武志のことも八郎のことも大好きだが、穴窯での作品作りを諦めたくないということ、八郎と離れて暮らすが、武志の父と母であることに変わりはないことを伝えた。まっすぐな目で母の言葉を聞き、うなずく武志に、喜美子の表情は和らぐ。武志は、喜美子の心をあたためてくれる、かけがえのない存在なのだ。

 4回目の挑戦は失敗。しかし喜美子が煙突に続く穴の大きさと土の配合を変えると、5回目には少しだけ色が出るようになる。6回目の挑戦では、色を出すのに適した置き場所が分かった。

 だが、望む色を出すには、さらに薪を焚かなくてはならない。それを実行するには、お金が足りなくなっていた。そのうえ、八郎と離れて暮らしていることが信楽中に知れ渡り、喜美子に仕事が回ってこなくなっていた。

 そんな中、喜美子に絵付け小皿を注文した橘(紺野まひる)が、新たな注文をしにやってくる。信楽では「八郎が若い女の弟子と出て行った」という噂が立ち、それを真に受けた橘の知り合いが喜美子の境遇を哀れみ、絵付け小皿を注文したのだ。しかし、100組の大量注文と橘のさりげない気遣いは、お金に困っていた喜美子にとってありがたかったに違いない。

 かつて「お金にならない仕事はしない」と宣言していた喜美子。そんな彼女がとうとう借金をした。借金をしてまで穴窯に没頭する姿は、見ていてハラハラする。作品作りに突き進む喜美子に、金が全く身につかない父・常治(北村一輝)の姿を重ねた視聴者もいたのではないだろうか。しかし、父譲りの人の良さが、橘からの注文を呼び寄せたようにも思える。物語の終わりには、何度も喜美子に助言を与えてきた草間(佐藤隆太)が現れた。窮地に追い込まれても、喜美子の周りには支えてくれる人がいるのだ。穴窯の成功が近づいている予感がする。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、富田靖子、大島優子、松下洸平、福田麻由子 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

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