上白石萌音、“天堂担”として認知! 『恋はつづくよどこまでも』七瀬の貪欲さはどこから生まれた?

『恋つづ』上白石萌音、“天堂担”として認知

 だが、その「もっとこうなりたい」の貪欲なエネルギーは、もしかしたら誰の心にもある、最もピュアな欲求なのかもしれない。周囲の目を気にして、傷つかないように、効率よく生きようとするほど、フタをしがちなもの。七瀬を見てイライラしてしまう人は「そんな世の中、甘くない」と、きっと苦い思いをしてきた人なのではないか。酒井も、好き嫌いで仕事を楽しめない事情があり、どこかで七瀬を羨ましく思えばこそ、突っぱねてしまう。

 未熟で、幼稚で、不器用で、手がかかって、やたら一生懸命で、まっすぐで……もしかしたら、天堂もそんな七瀬に、かつての自分を重ねているのではないだろうか。そんな思いではきっと潰れてしまう、傷つくのが目に見えているからこそ、「向いていない」と言い放ったのだとしたら……。ドS発言も少し聞こえ方が変わってくる。

 実際、患者の神田(金子大地)を助けられなかったという悲しみにくれる七瀬。だが、そこで天堂はいつもの調子で「やめろ」と戒めるのではなく、抱きとめて「みんなそうだ」と背中に当てた手をポンポンとしながら慰める。七瀬を抱きしめながら、一つひとつの壁にぶち当たっていた過去の自分自身を肯定し、そして今も平気な振りをしているが傷ついている純粋な自分に声をかけていたのかもしれない。

 恋とは、その人と人生を共有したいと思う気持ち。その人の生き様を応援し、自分自身の生きる活力となる存在となること。そう定義するのであれば、恋する相手を「担当」と呼ぶのはとてもしっくりくる。同じことで傷つき、同じことに喜び、人生の酸いも甘いも味わう、まさに運命共同体になるということ。

 物理的に胃袋を掴む=好きな食べ物(甘い物)を贈るのも有効だし、感情を全面に出すことで天堂の中に押さえていたものが共鳴する。そんな細かなジョブがきいたのか、ついに「天堂担だろ」と言わせることに成功した七瀬。来生(毎熊克哉)が仕掛ける、闘争本能に訴える「シュークリーム作戦」も功を奏しそうだ。これは、0.0001%の光が見えたということか!?

 現実は厳しくて、しんどいことばかりだからこそ、そんな日々の連続が、やがてかけがえのない絆を生むところを見せてほしい。イライラしながらも七瀬にエールを送ってしまうのは、そんとなピュアな想いが実を結んでほしいと願わずにはいられないからかもしれない。

■放送情報
火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』
TBS系にて、1月14日(火)スタート 毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、佐藤健、毎熊克哉、昴生(ミキ)、渡邊圭祐、吉川愛、堀田真由、香里奈、平岩紙、蓮佛美沙子、山本耕史
原作:円城寺マキ『恋はつづくよどこまでも』(小学館 プチコミックフラワーコミックスα刊)
脚本:金子ありさ
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:宮崎真佐子、松本明子
演出:田中健太
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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