「喜美子の横にいるのはしんどいな」漏れ出た八郎の本音 『スカーレット』が描く“才能”の残酷さ

『スカーレット』が描く“才能”の残酷さ

 「喜美子の横にいるのはしんどいな」。八郎は三津にぼそっと告白する。自分を軽く超えていった喜美子と不器用に粘土をこねる三津。そんな本心を打ち明けられるほどに、八郎は三津に居心地の良さを感じているのが分かる。おにぎりを握りながらいたずらに笑う喜美子と、才能への憎悪が隠しきれない八郎の対比が、恐ろしく生々しい。

 かわはら工房に吹き込む新しい風とは対照的に、信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)には幸せな新しい風が舞い込む。信作の気遣いのできる優しいアプローチもあり、百合子は徐々に信作を男性と意識していく。そして、ついに「家庭を築いてもええよ。結婚前提にお付きあいしてくれても」と百合子から切り出す。「ええ人~?」と百合子お得意の多数決から満場一致の2票で付き合うことに。

 第15週「優しさが交差して」では、直子(桜庭ななみ)から交際相手との間に子供を授かったという連絡が入り、信作と百合子の結婚話どころではなくなってしまう。また、予告では三津の「先生のこと襲っちゃうかも」という大胆なセリフ、八郎が喜美子に「結婚する前の頃の作品に戻ろうと思ってんねん」と告げる場面もある。徐々に大きくなっていく2人の不協和音。昼ドラばりの不穏な空気のまま、喜美子と八郎は別れを選んでしまうのだろうか。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林遣都、財前直見、マギー
水野美紀、溝端淳平、木本武宏、羽野晶紀、三林京子、西川貴教、松下洸平、イッセー尾形 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記、葛西勇也
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

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