新田真剣佑、二世俳優から抜きん出た存在に 『同期のサクラ』で両立するスター性と職人気質な一面

新田真剣佑、二世俳優から抜きん出た存在に 『同期のサクラ』で両立するスター性と職人気質な一面

 アメリカで生まれ育った新田は、ハリウッドで俳優としてのキャリアをスタートさせたが、のちに活動拠点を日本へ移行。彼の認知度が急激に高まったのは、やはり『ちはやふる』シリーズ(2016-2018)での好演だ。新田が演じたのは、他の登場人物と比べてみると、どちらかと言えばキャラクター性の乏しい素朴な人物であった。同作で主演を務めた広瀬すずの“白目をむく”といったものや、矢本悠馬の“終始ハイテンション”のような、表面的な演技アプローチが彼には許されていなかったのである。これは「青春映画」とあって、彼の演じた綿谷新も例外ではなく、心の内に葛藤を抱えている若者であった。新田は物腰柔らかな佇まいを保ちながら、視線や声の調子といった細部に感情を乗せ、自身が器用な演技者であることを表明したのである。

(c)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (c)末次由紀/講談社

 少女マンガ原作の恋愛モノ『ピーチガール』(2017)、少年マンガ原作のアクション映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017)、ハリウッド大作『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)、若き天才ドライバーに扮した『OVER DRIVE』(2018)、期待の若手俳優が勢揃いしたミステリー『十二人の死にたい子どもたち』(2019)と、新田の出演作を並べてみたときにくっきりと浮かび上がってくる彼の強みは、作品ごとに演技アプローチを使い分けるその巧さだろう。

 陰のある役どころのシリアスな演技から、ピュアな恋心、はたまた硬派な無頼漢まで、演じられる役の幅の広さはもちろんのこと、作品テーマ、ジャンル、テレビや映画といった媒体の違い、新田は適宜それらに合わせた演技アプローチを図っている。彼は俳優なのだからこれは当然のことではあるが、どうしても演じる“その人自身”から離れられない者が多いのもまた事実だ。むろん、演技者自身の魅力や主張を軸に役を演じ功を奏する場合もある。しかし新田の場合は、生まれ持ったスター性を放ちながら、職人的なものも感じさせるのだ。これは今作『同期のサクラ』でも実践され、発揮されている。木島葵という一人の人物のある長い期間を演じるうえで、彼はその人間の時間による“変化”と、そして同時に“変わらなさ”を体現しているのだ。端的に見て取れるのは、やはり発声の仕方の微妙な違いなどである。

『同期のサクラ』第5話より(c)日本テレビ

 これまで、脇でありながらも物語を駆動させるような主要ポジションを演じてきた新田真剣佑だが、今後は彼が中心に立つ主演作の公開も控えている。先に述べた『パシフィック・リム』での彼の出番の少なさに肩透かしを食らったという声も多く上がったが、あれはまだ序章に過ぎない。彼と同世代の二世の俳優は、村上虹郎、寛一郎、福地桃子らなど優れた者たちがいるが、新田のように若くして貫禄のようなものさえ感じさせる存在はまだいないだろう。すでにそうなのだが、これからますます映画界の中核を担う存在となっていくことは間違いない。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■放送情報
『同期のサクラ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:高畑充希、橋本愛、新田真剣佑、竜星涼、岡山天音、相武紗季、椎名桔平
脚本 : 遊川和彦
チーフプロデューサー : 西憲彦
プロデューサー : 大平太、田上リサ(AXON)
演出 : 明石広人、南雲聖一
制作協力 : AXON
製作著作 : 日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/sakura2019/
公式Twitter:https://twitter.com/douki_sakura

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

音楽記事ピックアップ