『同期のサクラ』“1話1年”で進む展開が浮き彫りにする高畑充希の大胆さと繊細さ 「3つの夢」は無事に叶うのか

『同期のサクラ』高畑充希の大胆さと繊細さ

 またサクラの魅力は、そんな人間力の高さを持ちながらも決して聖人君主としてのみ描かれていないところにある。時として毒付いたり怒ったり、相手を突き放してみることもある。自分のマイナスの感情も露呈させ、それを帰宅後に反省し、じっちゃん(津嘉山正種)に事細かにFAXする。そこがまた強烈に人間臭く、超堅物でどストレート、常人とは決定的に異なる存在ながらも、周囲と変に隔たることなく結果的に人を巻き込めているのだろう。

 それゆえ、『水戸黄門』で言うところの印籠かのように毎回掲げられる「私には夢があります」で始まるお決まりの一節も苦痛どころか、視聴者としても“なくては困る”名シーンとして歓迎されると同時に、よりサクラの一貫性が際立つキラーコンテンツとして昇華されている。

 ようやく同期4人および元上司のすみれ(相武紗季)が抱える問題やコンプレックスが解消され、サクラが心から信頼できる仲間を得たところで、今度は彼女自身の心が壊れてしまう出来事に見舞われる。次回、ついにサクラが寝たきりになった理由が明かされるようだ。サクラの身に何が起きたのか。サクラの3つの夢が叶うことはもうないのか。しっかりとこの目で見届けたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで2018年の劇場鑑賞映画本数は96本。Twitter

■放送情報
『同期のサクラ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:高畑充希、橋本愛、新田真剣佑、竜星涼、岡山天音、相武紗季、椎名桔平
脚本 : 遊川和彦
チーフプロデューサー : 西憲彦
プロデューサー : 大平太、田上リサ(AXON)
演出 : 明石広人、南雲聖一
制作協力 : AXON
製作著作 : 日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/sakura2019/
公式Twitter:https://twitter.com/douki_sakura

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