『G線上のあなたと私』波瑠×中川大志の恋に漂う切なさ ヒット続く「年下男子との恋愛」と一線を画す理由

『G線上のあなたと私』2人の恋の行方

中川大志が母性本能くすぐる年下男子を好演

 だが、こうした構図は先週の第7話で一転した。ずっと眞於に向けられていた理人の恋のまなざしが、ついに也映子に向けられたのだ。「あなた」から見つめてもらえないせつなさがこれまでの推進力ならば、ここからは「あなた」から見つめられたことで生まれる胸の痛みや戸惑いが起爆剤。呼吸もできないような恋の苦しみを知った也映子が、8歳も年下の理人とどう向き合っていくのか。きっとまた心にぐさりと刺さる台詞が飛び出すことだろう。

 また、中川大志の年下男子ぶりにもさらに期待がかかる。中川演じる理人は、口が悪くてぶっきらぼう。でも、婚約者に捨てられた過去を告白した也映子のために、「延長でお願いします」とワタワタしながらフライドポテトを頼む姿は人の良さがにじみ出ていたし、兄に子どもが生まれたことを眞於にメールしてしまい、也映子たちから呆れられたときのカクカクと帰る後ろ姿は実にコミカル。この母性本能をくすぐる感じは、年下男子の専売特許だ。

 それでいて、眞於を見つめるときのまなざしは今にも泣き出しそうで、そうだ、人を好きになるとこんなふうに泣きたくなるんだと、かつて自分が味わった胸の痛みを鮮やかに思い出させてくれる。“黒岩くん”とも“ゆりゆり”とも違う魅力を、中川大志は放っている。

 眞於の局所性ジストニアや演奏会でのトラブルなど、すでに原作にはないエピソードがいくつも盛り込まれており、今後の展開はこれまで以上にオリジナル要素が強くなってくるはず。意地っ張りで素直になれないふたりの恋の行方はどうなるか。歴代の名作に続く「年下男子とのラブストーリー」らしい結末で、イルミネーションきらめく12月を盛り上げてほしい。

■横川良明
ライター。1983年生まれ。映像・演劇を問わずエンターテイメントを中心に広く取材・執筆。初の男性俳優インタビュー集『役者たちの現在地』が1/30より発売。Twitter:@fudge_2002

■放送情報
火曜ドラマ『G線上のあなたと私』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:波瑠、中川大志、松下由樹、桜井ユキ、鈴木伸之、滝沢カレンほか
原作:いくえみ綾『G線上のあなたと私』コミックス全4巻(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:安達奈緒子
演出:金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gsenjou/

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