『G線上のあなたと私』インタビュー
鈴木伸之が語る、いくえみ綾作品の魅力と役を通して得た学び 「クズ男役は勉強になります」
不器用な大人の友情と恋を描き、多くの視聴者から共感を得ている火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)。本作は同枠で放送された、波瑠主演×いくえみ綾原作ドラマ『あなたのことはそれほど』(以下、『あなそれ』)の制作陣が集結し、再び主演に波瑠を迎えて、いくえみ綾漫画をドラマ化したことでも、注目を集めている。
また、『あなそれ』で波瑠の不倫相手を熱演した鈴木伸之も出演しているところも、ファンにはたまらないポイント。今回、鈴木や演じているのは主人公・也映子(波瑠)が、大人のバイオリン教室で出会った大学生・理人(中川大志)の兄・侑人役だ。
婚約者だった眞於(桜井ユキ)を裏切る形で、芙美(滝沢カレン)と授かり婚をしたにも関わらず、理人との関係が気になって眞於に会いにいくようなところもある、またもや視聴者から女性関係で首をかしげられる役どころだ。そんな揺れ動く男性像をどのような気持ちで演じているのか。そして、鈴木自身には理人たちのような居心地のよい場所はあるのか、インタビューに答えてもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「クズ男役は、勉強になります(笑)」
――『あなそれ』に続き『G線上のあなたと私』でも、女性関係にゆるさが気になる役どころですが、そうした役柄が続いた感想はいかがですか?鈴木伸之(以下、鈴木):クズですよね(笑)。でも、すごく嬉しいです。2年前にやらせていただいた『あなそれ』のイメージが強く残っているということでもあると思うので。この枠に帰ってきたなという感覚もありますね。スタッフの皆さんもほとんど変わっていないので、また声をかけていただいて、ご一緒できるのはとてもありがたいです。
――鈴木さん自身は、侑人のような言動はどう思われますか?
鈴木:うーん、そうですね……まあ、わかるなっていう部分もありますし、わかっててもしちゃいけないなっていう部分もあるし。今回だと、芙美さんっていう奥さんがいるにも関わらず、元婚約者の眞於さんに会いにBARへ行ってしまうところとか。それは、かなりグレーゾーン攻めてるな、この男はって思いましたね。そういう意味では、勉強にはなります(笑)。
――グレーゾーン(笑)。『あなそれ』では、完全にブラックゾーンでしたが。
鈴木:あれは完全にもう両足が、ひったひたに浸かっていましたからね(笑)。今回の侑人は完全アウトとは言い難いところにはいますが、「そこまでいくと危ないぞ」と台本を読みながら感じるところが多々あるので。最後までハラハラさせられるような役にできたらいいなと思っています。
――改めて、いくえみ綾さん原作のドラマに出演してみて、感じたことはありますか?
鈴木:いくえみ綾さんの作品は、かなり普遍的なことを描いているのが特徴ですよね。何かすごい大事件が起きるわけでもなく、とんでもない過去を背負っているとかもなく……その感じが2年前の作品も今回も重なっていて。仕上がりを見てから「あ、こういうことだったのか」とか「あ、こういう感じで見えるんだ」とか、完成したものから答えが見えることが多いですね。
――なかでも、印象的なシーンはありますか?
鈴木:桜井ユキさん演じる眞於さんの回想シーンで、泣き叫ぶ桜井さんに「やめてくれよ」みたいなことを言うのがキツかったですね。桜井さんの演技と、そのシチュエーションにゾッとして鳥肌が立ちました。“これは現実ではマジで起こしちゃいけないやつだな”って。しかもそれを遠くの木の陰から、理人が見てドン引きしてるっていうのも(笑)。僕だったら、もう絶縁しますね、こんなアニキがいたら。彼は優しいですよね、そう考えると。
「くだらないことでゲラゲラ笑いながら、空き時間を過ごしてます」
――再共演となった波瑠さんとは、思い出話などされましたか?
鈴木:本作では、波瑠さんと僕の役がどうこうっていうわけではないので、なかなか同じシーンがないんですが、5話で1シーンだけ2人きりのシーンがあって。プロデューサーさんから「2人が横並びで歩いているところが懐かしかった」と言われたんですよ。たしかに「2年ぶりだ」みたいなのは、僕も感じましたね。全然関係ないんですけど、僕が最近PEACH JOHNさんとコラボルームウェアを発売させてもらったので、それを波瑠さんにプレゼントさせていただいたんですよ。そしたら、「家で着てるよ! ありがとね!」と喜んでくださって。すごく嬉しかったですね。
――チームのいい雰囲気が伝わってきますね! 中川大志さんとも、2012年放送のドラマ『GTO』(フジテレビ系)以来の再共演ですが、いかがですか?
鈴木:大志とは彼が14歳からの知り合いで。年齢は5歳くらい違うんですけど、同じ生徒役だったんです。出会った当時からませていたというか、すごく大人っぽい一面がある役者さんだなっていう印象があって。今回も、この作品をすごく引っ張ってくれていますし、一緒にやらせてもらっていて楽しいなと純粋に思いますね。
――中川さんとは、撮影の合間にどんなお話を?
鈴木:本当くだらないやりとりですよ。それこそ、出会ってから7〜8年経っているので、色々な思い出があって。その話を面白おかしくしゃべったり、監督さんのモノマネしてみたり。くだらないことでゲラゲラ笑いながら、空き時間を過ごしてます。
――どちらがモノマネして、笑わせる側なんですか?
鈴木:どっちもですが、仕掛けるのはだいたい大志ですね。過去に「このセリフとこのセリフの間を2拍あけてください」ってことをよくおっしゃる監督がいらっしゃって。大志が、今回台本を読みながら、その監督のマネをして「ここを15拍あけてください」って言うんですよ。「いや、そんだけ空けたらCM入っちゃいますよ」みたいな(笑)。本当くだらないんですけど、くだらないことって面白いじゃないですか。そういうことを延々と2人で言ってます。
――ドラマの中では結構ギスギスしてる兄弟ですけど、裏側ではそんなことが(笑)。
鈴木:そうなんですよ。「リハしようよ」と声をかけてきたかと思えば、「ちょっと酔っぱらってるっていうていでやろ」と言って、全然本番と違う感じでやったりとか。人懐っこくて社交的ですし、本当に弟みたいに可愛いです。
――では、元婚約者の眞於さん役の桜井ユキさんの印象は?
鈴木:桜井さんは、何かの記事で拝見したんですけど、結構笑い上戸なところがあるみたいで。確かにバイオリンのシーンは笑っていることが多いですけど、本当に休憩の間も笑顔が絶えないんですよ。すごい柔らかい印象があって話しやすいですし、優しいですね。
――ドラマの中では、「そんなことできるわけないじゃない!」など、ピリッとしたセリフを言われていますよね。
鈴木:さっき撮影したシーンでも、ちょうど似たようなこと言われてきたんですけど(笑)。また眞於先生はちょっと違いますね、実際の桜井さんと。
――あんなふうに冷たくされる感じは、どうですか?
鈴木:あんなにピシャッと言われる機会って、普段生活していてなかなかないじゃないですか。だから、こっちも逆に気持ちいいですけどね(笑)。“あぁ、そうだよね”みたいな。