『永遠の門 ゴッホの見た未来』ジュリアン・シュナーベル監督が語る、ゴッホへのアプローチ

『永遠の門』J・シュナーベル監督が語る

僕はすごくラッキーだ

ーー本作でゴッホを演じたウィレム・デフォー、ゴーギャンを演じたオスカー・アイザックとの作業はいかがでしたか?

シュナーベル:彼らはとても温かくて、寛大な俳優たちだった。「お仕事」じゃなくてやりたいからやってくれたんだ。アイザックは、『スター・ウォーズ』の宣伝活動より、こちらを優先して撮影に来てくれた。それってすごい選択だよね。彼はそれほどこの映画に強く惹かれていたんだ。彼らのことは信頼していたから自由にやってもらって、僕らスタッフはそのための場所を提供すること、そしてその中で起きる一つ一つを見逃さないことだけに注意していた。

ーー芸術は、不遇に終わったゴッホの時代に比べればとてもポピュラーなものになりました。

シュナーベル:芸術というのは、芸術家が止むに止まれず作ってしまうものだと思う。お金持ちになりたいという欲望から偉大な芸術が生まれるとは思えない。ゴッホが有名になりたかったかと聞かれたら、彼は怒るだろう。彼は、自分のやり方で、自分の世界を表現したかっただけだ。後になって観客が追いついてきた。その点、僕はすごくラッキーだ。こうして作品を観客と分かち合うことができている。これはゴッホにはなかったことだ。だけど、彼にはゴーギャンがいた。アンデパンダン展で、ゴーギャンから作品の交換を提案されたことは彼の人生に大きな感動を与えた。尊敬している人が、自分が見ている世界に同意してくれるというのは芸術家にとって最高なことだと思う。

(取材・文・写真=島田怜於)

■公開情報
『永遠の門 ゴッホの見た未来』
全国公開中
監督・脚本:ジュリアン・シュナーベル
出演:ウィレム・デフォー、ルパート・フレンド、マッツ・ミケルセン、オスカー・アイザック、マチュー・アマルリック
配給:ギャガ、松竹
原題:At Eternity’s Gate/2018/イギリス・フランス・アメリカ/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/111分/字幕翻訳:松岡葉子
(c)Walk Home Productions LLC 2018

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