井上真央、“寅さん”の母親像に倍賞千恵子を彷彿 NHKドラマ『少年寅次郎』は山田洋次監督も讚称
第1話を見て泣いてしまったという泉澤は、現場で藤原から「(演技で)どうやったら泣けるのか」という相談を受けたという。「自分もびっくりしてしまいまして、純粋な目で聞かれて、どうしたらいいか分からなくなってしまって。『スイッチを押すんだよ』って言ったんですよ」と胸のあたりのスイッチの場所を教えたそう。藤原は井上にも同じ質問を、泉澤よりも先にしており、井上は「泉澤さんが寅ちゃんぐらいの時にご一緒した時に『泣きのゆうき』と言われていて」と泉澤の子役時代を回顧。「そのくらいポロポロ泣いていたんです。私も聞かれた時に『おいちゃんに聞いてごらん。“泣きのゆうき”って呼ばれてたんだよ』って言って。そしたら『ここだよ』って教えてもらったと、『ハートだよ』って意味なんですよね。寅ちゃんがずっとここを押してた」と現場での仲睦まじいエピソードを語った。岸井も「寅が笑うと現場の雰囲気がパッと明るくなって、寅がいじけると、『寅どうしたの~?』ってみんなで構って、そういう雰囲気が楽しかった」と藤原のムードメーカーぶりが明らかになった。
国民的人物である寅次郎の母と父を演じるにあたり、井上は「倍賞(千恵子)さんを産んだ母として、聖母のような、さくらさんを彷彿とさせるようなお母さんになりたいなと振り返って映画を見ていたんですけど、見れば見るほど、倍賞さんが素晴らしすぎまして」とプレッシャーを感じ、台本を読む度に倍賞が頭の後ろの方に浮かんでいたことを吐露。「もうそれは切り替えようという思いで、聖母のようなイメージは持ちつつ、ダメな夫を上手く操るようなチャキチャキとした下町のお母さんという雰囲気と、子供たちを前にしたときの感覚というのを大事にしました」と最後まで演じ切れたことを明かした。
また、毎熊も「映画に出てこない分『これが親父か』というプレッシャーがものすごくあった」と明かし、そんな時に「小松さんやきたろうさんから『渥さんに敵う訳がないんだから、好きにやりなさいと』という言葉をいただいた」と励まされたことを明かした。
会見では、演出の本木氏が「山田さんから褒められたのが嬉しくて誇りに思っています」と語り、小松氏が「山田監督にはアドバイスをいただいたり、本当に助けていただいた」と感謝と敬意を述べる場面も。本作では、現代のキャストにより50年の時を越えて、映画『男はつらいよ』がはじまる前の「家族の物語」が描かれる。
(取材・文=大和田茉椰)
■放送情報
『少年寅次郎』
NHK総合にて2019年10月19日(土)よる21時~
出演:井上真央、毎熊克哉、藤原颯音、泉澤祐希、岸井ゆきの、山時聡真、山田真歩、きたろう、石丸幹二 ほか
原作:山田洋次「悪童(わるがき)小説寅次郎の告白」
脚本:岡田惠和
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/drama/dodra/torajiro/