葵わかなが語る、『任侠学園』で初めて挑んだ役作りの裏側 「分からないのは悪いことじゃない」

葵わかなが語る、初めて挑んだ演技アプローチ

「最近は『別に分からなくてもいいや』って思えるようになった」

ーーエンドロールに出てくるNGシーン集からは、撮影の和やかな雰囲気もすごく伝わってきました。

葵:今まで受け身の役が多く、自分から発信していくのは初めてだったので、私は内心ハラハラしていましたが、すごく笑顔の絶えない現場でした。

ーー西島秀俊さんを中心にほぼ毎日飲み会が開かれていたとか。

葵:そうなんです。阿岐本組の皆さんは早くから撮影をされていて、私たち生徒がクランクインした時にはもう既に阿岐本組の皆さんがすごく仲良くなって、出来上がっていて。仲が良い方々が多かったからなのか分からないんですけど、「反省会」という名の会を、毎夜毎夜行っているらしいとう噂は聞いていて(笑)。最初のうちはなかなか参加する機会がなかったんですけど、後半になってお誘いいただいたんです。「いよいよ噂の反省会に自分も出席する時がきた!」という感じで行ってみたら、皆さん歳は離れているんですけど、若手にも分け隔てなく本当に皆さん優しく接してくださって、すごく楽しかったです。

ーーそれは本当に「反省」をしている会なんですか?

葵:最初はしてたのかもしれないですけど、私が行った時にはもう既にただの飲み会でした(笑)。でも、やっぱりそういうところでこそ、現場では聞けないようないろんな話を聞けるじゃないですか。そういう場だからこそ、ひょいって気になる質問を投げられたりするので、すごく良い時間でした。阿岐本組の皆さんは、誰一人欠けてはいけないパズルのような感じで。たくさん人がいると、同じピースのような人がいたりするじゃないですか。そういうのが全くなくて。皆さんがそれぞれ心地の良いピースに自らハマりにいっていたのかもしれないですけど、すごくバランスのいいグループ感が伝わってきたんです。そこから、それぞれの方とお話すると、当たり前ですけど、「あ、こんなふうに考えてるんだ」とか、思っていた通りの部分もあれば、そうでない部分もあったり、中身はみんなバラバラなんです。なのに、こんなにカチっとハマるのは本当にすごいなと。西田(敏行)さん含め、阿岐本組の皆さんがすごく素敵な空気感を作ってくださいました。

ーー共演シーンの多かった西島さんの印象はどうでしたか?

葵:西島さんは、もう本当にいい人で。こんなにいい人っているんだって思うぐらい、いい人なんです(笑)。西島さんが真ん中に立っていてくださるから、若い私たちも安心して自由にお芝居できるんだなと。西島さんは、役柄的に兄貴分なんですけど、ご本人もすごく兄貴肌なんです。生徒役の人たちの相談を聞いてくれたりしていましたし、頼りたくなるような、追いかけていきたくなるようなタイプの方で、すごく尊敬しています。

ーーそんな西島さんを殴るシーンなどもありましたが、葵さんの中で印象に残っているシーンはありますか?

葵:全体を通して、とにかく笑いをこらえきれなくて大変なシーンがすごく多かったです。たぶん皆さんそうだったと思うんですけど……(笑)。NGシーン集でもありましたが、笑っちゃってNGになるシーンも結構あったぐらいです。あとは、窓ガラスを割るシーンは本当に大変でした。窓ガラスを割るには結構力がいるし、割れたら貼り直さなきゃいけないので、一発OKじゃないとダメなんです。私は3枚割らなきゃいけなかったんですけど、1回目の本番の時に一個も割れなくて、大変でした。2回目の本番でようやく割れたんですけど、あのシーンはどうしようって一人ですごく緊張しましたね。

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ーーここ最近はドラマや映画に加えて、MCやミュージカルなど様々なフィールドで活躍の場を広げている葵さんですが、出世作となったNHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』時のインタビューでは「お芝居に関しては、全然まだまだ」と話されていました。『わろてんか』以降で何か変化はありましたか?

葵:「まだまだこれから」というのに変わりはありませんが、役者としてというか、自分自身の考え方は変わっていく部分が結構あって。私はもともと“分からない”ことが嫌いで、分からなかったら調べたり考えたりするタイプだったんです。なので、分からないままにしておくのがずっと嫌だったんですけど、最近は「別に分からなくてもいいや」って思えるようになったのが一番の変化です。昔は何をするにも、自分の中で正解を探していたんですけど、最近は「そんなの分からなくない?」と思い始めて……。

ーーそれはここ最近の話ですか?

葵:そうですね。それこそミュージカルや声のお仕事など、今まで挑戦してこなかったジャンルのお仕事にも挑戦させていただいて、そこで成長できたと思う部分がすごく多くて。初めてのことにチャレンジする時には、やること自体が正しいのか正しくないのかを迷う部分もあるんですけど、結局いただいたお仕事は全ていい経験、いい結果につながっているので、「普通はこうだよね」という考え方もあてにならないなと思ったりもして。今回この『任侠学園』のちひろ役では、今まで分からないことが嫌だったからしっかり組み立てていたところを、初めて分からないまま入ってみることにしました。結果的にそれがすごくいい経験になったし、勉強にもなったし、撮影も本当に楽しかったんです。そういう経験もして、「分からないのも別に悪いことじゃないな」っていう考え方に変わったので、昔よりはだいぶ柔軟になったかなと思います。なので、この柔軟さをもって、これからもいろんな分野に挑戦していきたいです。

(取材・文・写真=宮川翔)

■公開情報
『任侠学園』
9月27日(金)全国公開
出演:西島秀俊、西田敏行、伊藤淳史、葵わかな、葉山奨之、池田鉄洋、佐野和真、前田航基、戸田昌宏、猪野学、加治将樹、川島潤哉、福山翔大、高木ブー、佐藤蛾次郎、桜井日奈子、白竜、光石研、中尾彬(特別出演)、生瀬勝久
監督:木村ひさし
脚本:酒井雅秋
音楽:末廣健一郎
主題歌:「ツギハギカラフル」 東京スカパラダイスオーケストラ  
原作:今野 敏『任俠学園』(中公文庫) 
幹事・配給:エイベックス・ピクチャーズ
企画・制作プロダクション:ROBOT
(c)今野 敏 (c)2019 映画「任俠学園」製作委員会
公式サイト:www.ninkyo-gakuen.jp
公式Twitter:@ninkyogakuen
公式Facebook:@ninkyogakuen

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10月4日(金)

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