『ノーサイド・ゲーム』ラグビーシーンは映画的スペクタクルを獲得 今までの池井戸潤作品との違い

『ノーサイド・ゲーム』評価集まる理由とは

 日曜劇場初出演で初主演となった大泉洋。放送前からこれまでの池井戸作品の主人公像とは、一風変わった配役に注目が集まっていた。

「大泉洋が、体育会系の人たちの中に1人経営者目線でいることが良い方向に働いています。これまでの池井戸作品は、阿部寛や役所広司など“強いお父さん像”を主人公としてきました。一方で、大泉洋は団塊ジュニアの象徴で、世代がちょっと変わってきているんです。嫌なやつでもないし、かといって善良な人でもない。どこか情けない存在でもあって、松たか子が演じる奥さんとの関係が面白い。奥さんの設定も良妻賢母なわけでもないし、悪妻でもない。この2人の関係性は、これまでの池井戸作品には見られなかったものです」

 先週の放送では、君嶋がカザマ商事買収を推し進めようとした滝川(上川隆也)を糾弾することに成功。なんとかラグビー部存続を勝ち取れたかに見えた矢先、新しく常務に就任した君嶋のかつての上司・脇坂(石川禅)から横槍が入る。最後に、最終回の注目ポイントについて同氏は以下のように語った。

「実は、ドラマと小説版とでは構成が変わっているんです。ドラマは松たか子さんのナレーションで物語を引っ張っていますが、原作ではほとんど出てこない存在だったり、滝川が更迭されるのは、原作だと中盤で起きるイベントで、ドラマのようにギリギリまで引っ張っていないんです。池井戸作品は、原作準拠のイメージが強いのですが、実は『半沢直樹』も現代に合わせるために調整を施しており、その変え方にこそ、作り手の個性と時代性が出ているように思います」

(取材・文=安田周平)

■放送情報
日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』
TBS系にて、毎週日曜21:00~22:14放送
出演:大泉洋、松たか子、高橋光臣、眞栄田郷敦、笹本玲奈、阿部純子、天野義久、廣瀬俊朗、齊藤祐也、林家たま平、コージ(ブリリアン)、佳久創、村田琳、西郷輝彦、大谷亮平、渡辺裕之、中村芝翫、上川隆也
原作:池井戸潤「ノーサイド・ゲーム」(ダイヤモンド社)
脚本:丑尾健太郎
演出:福澤克雄ほか
プロデューサー:伊與田英徳
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/noside_game_tbs/

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