>  > 『サギデカ』制作総括に聞く“特殊詐欺”の実態

“詐欺”題材のドラマはなぜ増えている? 『サギデカ』が目指した、加害者・被害者の丁寧な心理描写

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 NHK土曜ドラマ『サギデカ』が8月31日よりスタートした。本作は、「振り込み詐欺」「還付金詐欺」などあの手この手で市民を騙し、大金を奪い取る「特殊詐欺」犯罪者たちの摘発に心血を注ぐ警視庁の女性刑事・今宮夏蓮(木村文乃)を主人公とした人間ドラマだ。

 『透明なゆりかご』(NHK総合)、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)、『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』など、秀逸な人間ドラマを描き続けている安達奈緒子が脚本を務め、入念な取材のもと、現代の“リアル”を見事に捉えている。第1話では、振り込め詐欺グループの実行犯である掛け子(老人宅に電話をして騙す役割)を担っていた加地(高杉真宙)が今宮に捕まり、取り調べられる場面などが描かれた。

 リアルサウンド映画部では、『透明なゆりかご』に続き、安達とタッグを組んだ制作総括の須崎岳氏にインタビュー。「特殊詐欺」をテーマにした経緯から制作の裏側までじっくりと話を聞いた。(編集部)

詐欺を題材とした作品が同時期に重なったのは必然

制作総括:須崎岳

――『サギデカ』の企画を考え始めたのはいつ頃ですか?

須崎岳(以下、須崎):おおまかにいうと2016年頃です。前々から知っている同年代のNHK社会部の記者と話していたとき、「反社会勢力というのは弱体化していて、代わりに膨張をつづけているのが詐欺集団」という話題になりました。それなのに当時、詐欺の話題というのは目新しさがないので報じられることは少なくなっていました。でも実は巧妙化・複雑化している。このままではまずいことになりますよということを聞いて、そこからゆるゆると取材を始めて企画書を書いたのが始まりです。

――そこから実際に企画が通るまでというのは……。

須崎:企画書を出したのですが、しばらくは通らなかったんです。やはり当時は詐欺という題材に目新しさがなかったのと、その頃は社会派の題材を扱う枠が少なかったのではないかと思います。

――その頃からすると今のほうが社会派の題材が受け入れられるようになっている気もしますね。

須崎:なんとなくですが、視聴者の皆さんが見たいと思ってくださっている感じはありますね。それは『透明なゆりかご』のときにも感じました。僕自身はあの作品を社会派とは思っていなかったんですが、世の中に知られていなかったシリアスな題材を扱った作品だったと思います。

――『透明なゆりかご』の脚本を手掛けた安達奈緒子さんと今回の企画をすすめようと思ったきっかけは。

須崎:安達さんと『透明なゆりかご』でご一緒して、自分で言うのはなんですけど、ある程度信頼関係はできていたのではと思います。でも、だからといって次も即OKですというわけではなくて、安達さんが企画書を読んで、現代社会にある出来事をえぐりながらヒューマンドラマを描いていくことに共感してくれたことと、なによりオリジナル作品であるということが大きかったみたいです。

――企画を立ててからの3年間には、特殊詐欺を扱った作品が徐々に増えてきましたね。

須崎:結局、『サギデカ』の企画が通ったのは2018年の春でした。そこからなるべく早く世に出せればとは思っていたら、どんどん別のドラマが先に放送されて(笑)。企画が通ってからは、安達さんやチーフ演出の西谷(真一)とともに警察関係者や、詐欺犯をたくさん知ってるジャーナリストなどにどんどん会って取材をしていきましたが、これはまさに現代的な事象だなと思いました。その間にもアポ電強盗とか、タイの振り込め詐欺アジトのニュースが飛び込んだりして、3年前に記者の彼が言っていたことが本当になっていると痛感しました。詐欺を扱った作品が同時期に重なったのは、ある意味必然かも知れませんね。

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